リーダーに必要なのは「指示ではなく依頼」の意味 自分が上でなければならないという考えはダメ

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現在チームがすでにあり、そのチームで目標に向かって仕事をしている人も多いでしょう。実はこういうときもリーダーは、今のチームを入れ替えることを考え、一時的な不協和音はあっても定期的なシャッフルを、常に考えているべきです。

長く同じ人とチームを組むと、そのメンバー同士ではやりやすい一方、仕事のマンネリ化、馴れ合い、(マイナスの意味での) 阿吽の呼吸が生まれるリスクが発生します。

新しい刺激がなく、狭い範囲で部分最適を追求し、第三者からはわからない仕事のやり方を続けると、新しい発想が生まれる機会が減ります。また、新たな競合の出現などの変化に耐えられないどころか、その変化にさえ気づけず、新しい価値を生み出すことができなくなってしまいます。

それを回避するため、1つのやり方に固執せず、視野を広げるために、プロジェクト型に近いチーム運営をするとよい、というのがここでのポイントです。

人を入れ替え組織を活性化

チームというのは常に新しいメンバーを迎えることで、意図的に組織に刺激を与えることが大切です。

『知的創造企業』で有名な野中郁次郎氏は、「ゆらぎ」を意図的に与えることで、組織は活性化すると言っていますが、私は人の入れ替えも1つの大きな「ゆらぎ」になると思っています。

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メンバーが入れ替わった直後は新しい刺激があると同時に、一時的にやりにくさや不便なことも発生します。しかし、これは前進するための摩擦です。

リーダーはこれを意図して、あえてチームメンバーを入れ替えるのです。
長くチームを組んできて、今や片腕ともいえるメンバーも、定期的に自分のもとから旅に出すようにしてください。これはそれぞれにとって、いい成長の機会になります。

そしてのちに、別の場所で異なる経験を積んだ者同士が再会し、新たなレベルでチームを組むと、お互いの成長を感じることができるはずです。それは実に新鮮な刺激となり、次の新しい価値を生むスタート地点になるのです。

河野 英太郎 株式会社アイデミー取締役執行役員COO 株式会社Eight Arrows代表取締役 グロービス経営大学院客員准教授

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こうの えいたろう / Eitarou Kouno

1973年岐阜県生まれ。東京大学文学部卒業。同大学水泳部主将。グロービス経営大学院修了(MBA)。電通、アクセンチュアを経て、2002年から2019年までの間、日本アイ・ビー・エムにてコンサルティングサービス、人事部門、専務補佐、若手育成部門長、AIソフトウェア営業部長などを歴任。2017年には複業として株式会社Eight Arrowsを創業し、代表取締役に。2019年、AI/DX/GX人材育成最大手の株式会社アイデミーに参画。現在、取締役執行役員COOを務める。
著書に『99%の人がしていないたった1%のコツ』シリーズ、『社会人10年目の壁を乗り越える仕事のコツ』(ディスカヴァー)

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