すべての人が持つ「べき論」は、少なくとも本人にとっては正解です。では、どう歩み寄ればいいのでしょう? そのヒントに、以下のような「擦り合わせ」ワークをご紹介します。4人家族(父、母、長男、長女)のケースで考えてみましょう。「家族で守りたい『べき論』」を一人2つずつ、合計8項目挙げてみとたところ、このような結果となりました。
これら個人にとって正しい「べき論」に、各人別の優先順位をつけていきます。今回は8項目なので、最も優先順位が高いものが1、最も低いものが8ですね。各人が優先順位をつけたら、横軸に合計得点出します。ちょうど、次の票のように結果が出るかと思います。
合計得点の優先順位(数字が小さいものが上位)からは、「日曜日は家族そろって朝食をとるべき」、「『おはよう』など、挨拶を欠かさないべき」、「家族の誕生日はみんなで祝うべき」が上位3項目となりました。民主的に解決するなら、たとえばこの上位3項目を家族全員で守るルールと定めるのがひとつの方法でしょう。
このワークは、単純に擦り合わせをするだけが目的ではなく、「自分の考えを知ってもらう」、「自分以外の考えを知る」という狙いもあります。そして、自分の考えが「受け容れられている」または「浮いている」ということを客観視する場でもあります。
たとえばこの家庭の場合、長男が半分の項目(8つ中4つ)で、ほかの家族と大きく違う考え方を持っているということに気づきます。そして、これら家族の溝にもなりかねない項目の歩み寄りを図ろうとすることこそ、建設的かつ平和的な解決ではないでしょうか。
職場の「モラハラ防止」にも生かそう
モラルハラスメントは、家庭だけでなく、職場でも起こります。いわゆる「パワハラ」と同義にもなってくる状況ですが、やはり「自分ルール」にすぎない「べき論」の押しつけで、大事件につながることも少なくないのです。
たとえば日常的にありがちな事例として、上司に質問をしたら「言わなくても分かるだろう?」とわざとあいまいに言われたり、「自主的に動け!」と言ったかと思うと、「勝手にするな!」と言われたり……などといったことをよく耳にします。
こういった言動の積み重ねで、職場の雰囲気が悪くなり、部下がわざと本気を出さなくなったり、退職したり、メンタル疾患を患ったり……とにかく職場の生産性が著しく低下してしまうのです。
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