近鉄名阪特急に革命「アーバンライナー」の貢献度 「ひのとり」登場後もスマートな流線形で存在感

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近畿日本鉄道の特急車両21000系「アーバンライナー・プラス」(記者撮影)
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名古屋と大阪という2大都市間を移動するための鉄道は、東海道新幹線ばかりでない。新幹線開業前からその役割を担ってきたのが近畿日本鉄道(近鉄)の名阪特急。戦後間もない1947年に始まり、2階建て「ビスタカー」や「スナックカー」、2020年3月にデビューした「ひのとり」など、同社は高級感とサービスを訴求したフラッグシップ車両を投入してきた。

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主力の「停車駅の少ない名阪特急」は近鉄名古屋と大阪難波を毎時0分に発車する。現在、名古屋へ向かう特急の場合、大阪上本町、大阪環状線との乗換駅である鶴橋を経て、奈良県橿原市の大和八木に停車。その後は急勾配が続く山間部を高速で軽々と乗り越え、伊勢中川の短絡線をゆっくりと通過、大阪線から名古屋線に移る。三重県の県庁所在地、津を出ると伊勢平野を北へひた走り、終点の近鉄名古屋まで停まらない。近鉄名古屋からも大阪難波へ向けて毎時0分に発車している。

アーバンライナー誕生の背景

名阪特急は1964年の東海道新幹線開業をきっかけに低迷期を迎えることになる。が、1970年代後半からは国鉄の値上げを背景にして利用者数が回復傾向となった。1988年、その流れを確実なものにするべく登場したのが21000系「アーバンライナー」だった。

横から見た先頭部。手前と奥は新型名阪特急「ひのとり」(記者撮影)

外観は、流線形で非貫通構造の先頭部と側面の連続窓が特徴。運転室越しの前面展望も楽しめる。登場時は「クリスタルホワイト」の車体に「フレッシュオレンジ」の帯を入れた都会的な外観が話題を呼んだ。開発にあたっては市場調査を実施して利用者のニーズを聞き取り、デザイン面では手銭正道、山内陸平両氏ら社外の知見も取り入れた。

車内はデラックス車両とレギュラー車両の2クラス制を採用。シートピッチは1m5cmに拡げた。導入当初、名古屋寄りから2両のデラックス車両は通路を挟んで1人掛けと2人掛けの座席配置。乗車券・特急料金に、300円の「特別車両料金」を追加することで手軽に利用できるようにした。

125kWの主電動機を使用した全電動車で民鉄初の時速120km運転を実現し、名阪間(近鉄名古屋―鶴橋間)で2時間を切ることに成功した。同社技術管理部の奥山元紀さんは「お客様にたいへん好評で、大きくシェアを取り戻すことに貢献した。バブル期にあっても内装がシックで正統派、ハイクオリティの車両を目指したことが評価された」と語る。マーケティング調査はその後の同社の車両開発でも用いられている。

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