近鉄特急ひのとり、速さ・安さと違う「魅力」は? 「レギュラー」でも座席は新幹線グリーン並み
近畿日本鉄道が3月14日から大阪難波―近鉄名古屋間で営業運転を始める新型特急「ひのとり」が試運転を繰り返している。これまでの近鉄の特急列車とはまったく違う、真っ赤な外観が沿線の人気の的だ。
近鉄特急の基調カラーともいえるオレンジと白ではなく、「メタリックレッド」を採用した。選定に当たっては赤以外の色も検討したが、青は伊勢志摩への観光特急「しまかぜ」が使っており、「スピード感があり、先進的な色という理由でメタリックレッドに決まった」と近鉄鉄道本部の深井滋雄・技術管理部長が明かす。
売りは「快適さ」
ライバルは新幹線と高速バスだ。近鉄の特急列車「名阪特急」で大阪難波―近鉄名古屋間を移動すると、所要時間は2時間程度、運賃と特急料金を合わせた料金は4340円となる。新幹線なら所要時間は50分程度。料金は高速バスなら2000円台で乗れる。
つまり、スピードを重視する人は新幹線を、安さを重視する人は高速バスを選ぶ。そこで、ひのとりはスピードでも料金でもなく、「快適さ」を売り物とした。コンセプトは「くつろぎのアップグレード」である。
ひのとりの魅力を際立たせるのは、両端の先頭車「プレミアム車両」だ。車内は全席3列シートで、通常の4列の列車に比べて横がゆったりしているだけでなく、前後間隔も130cmと、東北新幹線や北陸新幹線の「グランクラス」並みに広がった。現在の名阪特急で主力の「アーバンライナー」よりも25cm広い。
シートにはバックシェルが採用された。「後ろに座っている乗客が気になり、座席の背もたれをめいっぱい倒せないという声に配慮した」と、深井部長は話す。
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