テルモが米輸血関連事業大手を2200億円で買収、売上高1兆円へM&A加速
テルモは、米輸血関連事業大手のカリディアンBCT社を約2200億円(26.2億ドル)で買収すると発表した。輸血関連事業とは、血液バンクや血液センターなどに向けて、採血キットや成分採血システムなどを販売するビジネス。世界の市場規模は2000億~2500億円と言われており、新興国の医療水準の向上や、先進国の高齢化などに伴い、年率3~5%で成長している。今回の買収によって、テルモはこの業界で世界首位に躍り出る。
テルモの輸血関連事業は、売上高239億円(2010年3月期)。血液バッグや白血球除去フィルターなどディスポーサブル製品を中心に、1960年代から展開してきた事業だ。日本赤十字社などを販売先に持ち、最近はアジア新興国の需要拡大に伴い、手堅い成長を続けてきてはいたが、「以前から、輸血関連でもっと付加価値の高いものをやりたいと考えていた」と副社長執行役員の中尾浩治氏は言う。
一方、カリディアンBCTは、2000年以降年12%で成長している企業だ。10年12月期の売上高は5.2億ドル(約440億円)、EBITDAは1.8億ドル(約152億円)。ディスポーサブル製品よりも、高い技術力を活かしたシステムが事業の中心。強みは、売り上げの64%を占める成分採血システム。特に、血小板採血については、高単位血小板採血という高付加価値分野で、世界の半分以上のシェアを誇る。血小板需要の6割はがん患者。先進国の高齢化が進むとともに、需要はますます拡大すると見られている。
カリディアンBCTの主戦場は主に欧米だ。一方、テルモは日本とアジア新興国に強みを持つ。両者が持つ製品と販売市場で、幅広い需要に対応できるというのが、想定されるシナジーだ。将来的には、2社の部材を共通化するなど、効率化に向けた取り組みも考えられる。テルモの輸血関連事業の売上構成比は現在の8%から18%になり、「まずはグローバルに2ケタ成長を目指す」(中尾副社長)。