「日経平均年末3万円回復」への3つの重要ポイント 強気継続だが短期ではいったん下落の可能性も
さて、最後の3つめのポイントは岸田政権の実行力だ。7月10日投開票の参議院選挙で自民党は大勝した。これで政権は衆議院の解散などをしない限り、国政選挙のない「黄金の3年間」を手にしたとマスコミ報道されている。
他国もうらやむ安定度、問われる岸田政権の実行力
ただし、岸田首相は「黄金の3年という考え方はまったく持っていない。新型コロナウイルス、ウクライナ問題、物価高騰、……。戦後最大の危機的な状況にある」と強調した。
確かにそのとおりかもしれない。だが、マーケットは世界と比較する。欧米諸国の首脳たちもうらやむほどの政権基盤を得たのは事実だ。例えばフランスではエマニュエル・マクロン大統領の与党連合が下院(国民議会)選挙で大敗。英国のボリス・ジョンソン首相は退陣へ。ドイツではアンゲラ・メルケル首相の後任のオーラフ・ショルツ首相の社会民主党が地方選で敗北。上述のバイデン大統領は支持率低迷により、11月の中間選挙での苦戦は必至だ。
日本株がここ数カ月、欧米の株式市場に対して相対的に底堅いのは、高い政治的資本を得ていることも関係しているとみている。ちなみに、7月14日夕方に発表された7月4~8日(1週間)の海外投資家売買動向は、1兆1850億円(現物4308億円、先物7543億円)の買い越しと、2019年10月以来の高水準となり、
潮目の変化が感じ取れる。
岸田文雄首相は、8月3~5日の臨時国会で参院の正副議長を選出した後、8月初旬から9月に内閣改造と自民党役員人事に踏み切るとみられる。安倍晋三元首相の死去で自民党内の勢力バランスが複雑化するなか、どのような新体制で政権運営に挑むのか。マーケットは確認する時間帯に入ろうとしている。
岸田政権は、さまざまな直面する課題(コロナ、エネルギー)に対応を始めているが、物価高に対応する経済対策や、安倍氏の遺志とされる「憲法改正」の発議案とりまとめ、「資産所得倍増プラン」の策定などの行方(実行力・中身)をしっかり見定めたい。
日本株の行方を大きく左右する海外投資家は、前向きな変化(決断)や改革を求めている。「インベスト・イン・キシダ」への期待を裏切れば、株価下落というしっぺ返しもありうる。私自身は、日本復活の期待も込めて前向きに見守りたい。
(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
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