英国教授が「世界の停滞は良いこと」と言う深い訳 成長が減速した先に待ち受ける安定した世界

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停滞は悪だと考えるのはやめなければならない。スローダウンが進むということは、学校も、職場も、病院も、公園も、大学も、娯楽も、家庭も停滞するということだ。過去6世代と違って、世代が代わるたびに変容していくことはもうない。モノを長く使うようになって、ゴミが減る。

私たちは安定へと向かっている

過去数世代には、大きな進歩があったが、大きな苦難もあった。史上最悪の犠牲者を出した戦争があり、ジェノサイドがあり、人類を滅亡させる核戦争の計画・基地建設を含む、卑劣きわまりない蛮行があった。

私たちはいま、発見が減り、新しいデバイスが減り、「ヒーロー」が減る未来に直面している。しかし、それを受け入れるにはかなり時間がかかるだろう。だが、これはそんなにつらいことなのだろうか。独裁者も減るし、破壊も、極度の貧困も減る。

スローダウンは歴史の終わりでも、救いの到来でもない。ユートピアに向かっているわけではないが、ほとんどの人の生活はよくなるだろう。住まいも教育も改善し、過酷な仕事も減る。私たちは安定へと向かっている。

変化のない安定した状態は少し退屈かもしれないが、いまはっきりと言えるのは、スローダウンは始まっているということだけだ。それもしばらく前に始まっている。

ダニー・ドーリング オックスフォード大学ハルフォード・マッキンダー地理学教授

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Danny Dorling

著書にInequality and the 1%、The Equality Effectがある。デジタル世界地図サイト「ワールドマッパー」(worldmapper.org)共同開設者。

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