「数学嫌い」が見抜けない「平均値」の落とし穴 統計数字でだまされないための「3つの基本」

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ビジネスでも、「営業担当者1人当たり売上高」「従業員平均勤続年数」「平均給与」などはよく用いられる平均値です。それと比較して「自分/自社は頑張っている」などと考えるビジネスパーソンは多いでしょう。

ただし、この平均値が往々にして誤って計算されているのです。次にそうした事例をご紹介します。

問題①このワナに気づきますか?【難易度:低~中】

ある映画館において、その日訪れた入場者に「月に何回映画館に行きますか」というアンケートを取りました。サンプル20人の結果は以下のようになったとします。
1、2、1、1、3、2、1、30、1、1、2、1、2、1、25、1、2、1、1、3
さて、ここからあなたの部下は、映画館に来る平均回数を(1+2+1+1+3+2+1+30+1+1+2+1+2+1+25+1+2+1+1+3)÷20=82÷20=4.1回と計算しました。この数字は使い物になるでしょうか?
(なお、正式な調査では、統計学的に信頼度が高い数値を得るために必要なサンプル数は本来300から400程度は欲しいとされますが、話を単純化するために今回はその点は捨象します)

このケースでは、30回、25回と答えた2人の存在がやはり気になります。よほど時間のある映画好きか、職業的レビュワーの可能性が高そうです。この2人に引っ張られて平均値が上がってことに気づかれた方は多いかもしれません。

「異常値」ともいえるこの2人を除いた18人の平均は、27÷18=1.5回となります。こちらのほうがより実態に近いといえるでしょう。あるいは、順位で真ん中の中央値(このケースでは上から10人目と11人目の平均)の1回を採用するという方法もありそうです。

平均値は、身長や血圧といった「1つのサンプルの値がほかのサンプルの10倍、100倍、……1万倍などにはならない」という数字においては非常に有効です。一方で、今回のケースや、資産、年収といった、少数のサンプルが平均値を大きく上げてしまうケースには不向きなのです。

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