「数学嫌い」が見抜けない「平均値」の落とし穴 統計数字でだまされないための「3つの基本」

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つまり、先ほどのアンケートは二重、三重のミスを犯していたわけです。特に最後の落とし穴に気がつく人は、筆者の経験ではかなりの少数派です。数学が苦手な人はまず気づきません。まさに統計は往々にしてウソをつき、多くの人はそのワナのすべてを看破することは難しいのです。

加重平均は重みづけ次第

単純平均ではなく、重みづけをした加重平均もよく用いられます。難しいのは、その重みづけの設定です。生データは同じでも、重みづけの仕方次第で評価が変わるということも生じがちなのです。

例として、中途社員採用を考えてみます。1人だけ採用したいのですが、Aさん、Bさんの2人の有力候補者がいます。評価項目は、1)即戦力度合い、2)伸びしろ、3)組織文化とのフィット感としましょう。数人の面談を経て、Aさん、Bさんのそれぞれの点数は以下のようになりました。この数字自体は妥当性のあるものとしていったん議論を進めます。
Aさん:
即戦力度合い 9点
伸びしろ 8点
組織文化とのフィット感 6点
Bさん:
即戦力度合い 7点
伸びしろ 9点
組織文化とのフィット感 8点

さて、今回のケースではどちらを採用すべきでしょうか? 人事部長は、それまでの会社の慣例に従い、即戦力度合い、伸びしろ、組織文化とのフィット感の比重を30%、20%、50%として、Aさん、Bさんの総合評価を以下のように計算し、Bさんを推薦しました。さて、この判断は妥当でしょうか?

Aさん:9×0.3+8×0.2+6×0.5=7.3
Bさん:7×0.3+9×0.2+8×0.5=7.9
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