2018年、トルコ・イスタンブールのサウジアラビア総領事館で、サウジ人ジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏が暗殺された事件で冷え込んだサウジとの関係も改善が進んでいる。
2021年4月、両国は和解交渉を行い、トルコがカショギ事件によるサウジアラビア批判を棚上げした後、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子がトルコを訪問し、両国関係はリセットされた。
今年6月末、スペイン・マドリッドでNATO首脳会議が開催される直前、トルコ政府はサウジアラビア政府との貿易イベントで、トルコ製品のサウジアラビアへの輸入を制限する暗黙の措置が解消されたことを明らかにした。トルコ製品の輸入ボイコットでサウジへの輸出が昨年まで約92%激減していたが復活の方向にある。サウジも対ロシア積極投資をサウジ企業に呼びかけている。
イスラエルとの関係修復にも動く
トルコはイスラエルと10年以上にわたる緊張状態を終わらせるため、互いの外交代表を大使レベルに戻す取り組みを開始した。トルコのチャウシュオール外相は6月下旬、イスラエルのラピード外相との共同記者会見で、トルコにいるイスラエル人に対するイランのテロ計画の脅威について、両外相が緊密に連絡を取り合い、排除を行っていると述べた。
今年3月には、イスラエルのヘルツォーク大統領がトルコを訪問。エルドアン大統領と会談して以来、関係修復に動いている。
トルコはイスラエルの対パレスチナ政策への反発に加えて、2010年にガザ沖で起きたトルコからガザに向かう人道援助船をイスラエル国防軍が攻撃した事件、2018年のアメリカ大使館のエルサレム移転などを批判し続けてきた経緯がある。
またトルコ企業はロシアから撤退する西側企業の買収に乗り出している。例えば、スウェーデンの家具販売大手イケアが2013年にトルコのフィバ・ホールディング傘下のクレジットヨーロッパ銀行(オランダの登録銀行)との合弁で設立したイカノ銀行。そのロシア事業のシェア(50%)を、フィバに売却することで交渉していると報じられている。
トルコは、ロシアがウクライナに侵攻して以来、経済的危機が深まる中、同国にとって重要な周辺国との関係のリセットに大きな一歩を踏み出した。この外交政策の転換と積極姿勢はヨーロッパ、ロシア、中東に今後、影響を与えることは必至と思われる。
ロシアのウクライナ侵攻で生じたカオスのような状態に対して、なりふり構わず外交攻勢を展開し、キープレーヤーを演じようとするトルコが、プーチン氏にどこまで影響を与えられるか注目されるところだ。
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