他方、モデルナ社は7月11日、各国で承認申請中の2価ワクチン(従来ワクチンとオミクロン対応ワクチンの混合)について、BA.4・BA.5に対し「著しく高い中和抗体反応」を得たと報告。
中和抗体価の上昇は、従来ワクチンの追加接種だと3.5倍、新ワクチンでは6.5倍となり、幾何平均で1.69倍の差がついた。
これまでに公表されている限りでは、BA.5対応ワクチンについてはモデルナ社がファイザー社より一歩リードしているようだ。
それでも実用化は今秋になる見通しだという。BA.5の流行ピークはとうに過ぎているだろう(ちなみに偶然だとしても、2020年も2021年も、8月に新規感染者数の波がピークを記録している。この8月はどうなることか……)。
「BA.5対応ワクチン」を待つより大事なこと
すでにBA.5の波にのみ込まれようとしている今、すぐに打てるワクチンで確実に重症者を減らしていくほうが、やはり賢明だ。
先の通り、これまで静観していた政府も、ようやく接種対象者を拡げる方針を打ち出した。
もちろんこの方針には賛成だ。ワクチンの余剰はありそうなのだから、むしろもっと拡大していいはずだ。
政府の資料(7月11日付)を見ると、3回目接種の接種率(全国平均)は60代以上では8割を超えるが、50代で75%超、40代で6割程度と下がっていき、30代で約5割、20代が4割台、12~19歳では3割前後にとどまる。
強制ではないから、ワクチンを打てるのに打つ気のない人を動かすのは、なかなか難しい。ただ、上記の数字は「どの年代にも一定数は積極的に接種を受ける意思のある人たちはいる」とも読める。
年齢の低い層では、4回目を打ちたい人も相当数いると見られる一方、ワクチンが一気に足りなくなるような心配もなさそうだ。
大事なのは、打ちたい人が打てる体制を整えることだ。ワクチンで身を守れる人が、確実に接種を受けられるようすることが、ワクチンを“打てない”人をも守ることになる。難局こそ基本に忠実であるべきと思っている。
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