新型コロナウイルスの第7波が猛威を振るっている。若年者を対象としたオミクロン株対策を論じたい。
まず、強調したいのは、オミクロン株の流行の中心が若年層であることだ。東京都によれば、7月27日、2万9012人の感染が確認されたが、このうち1万6764人(58%)は30歳代以下だった。
隔離期間の長さが若者の機会損失を生む
ただ、若年者はコロナに罹っても重症化することは少ない。「感染しても大丈夫」とお考えの人も多いだろう。ところが、話はそう簡単ではない。コロナに罹ると若年者は機会損失を被る。機会損失とは、感染により活動を停止せざるをえなくなることだ。
コロナが特殊なのは、感染症法により、感染者は、入院、施設、あるいは自宅での療養が義務化されていることだ。その期間も法定されており、症状があれば発症から10日間、無症状なら陽性確認から1週間だ。この期間は、人前に出ることはできない。
すでに数多くの機会損失が出ている。例えば、東京大学教養学部は、今年度の前期試験から感染者・濃厚接触者の救済措置を中止した。この結果、コロナに罹患したため、授業や試験を欠席せざるをえなくなり、留年を余儀なくされた学生もいるという。
6月13日、東京大学教養学部学生自治会は、大学に対して「新型コロナウイルスへの感染が疑われる場合等の代替措置に関する要望書」を提出したが、同月30日の回答では、「実質的に学生からの申し出のみによる審査・決定となり、審査の信頼性が担保できない状況となった」と、学生の訴えを却下した。これは、学生の言い分が信頼できないと言っているのと同じであろう。
この対応は、いくつかのメディアで報じられた。7月28日、東洋経済オンラインは「東大『期末試験はコロナ救済なし』で陥るジレンマ 陽性・濃厚接触者は登校自粛なのに…学生が猛反発」という記事を掲載した。この中で、東京大学は、2年生の前期試験までの成績で、進級する学部/学科が決まる進学振り分け制度を採用しているため、「コロナ以外の病気や事故で欠席した学生との公平性を担保する必要がある」と、学生自治会への回答とは異なる内容の説明をしている。
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