コロナ感染の若者を見放す制度の不備にモノ申す 大学の定期試験や国家資格試験の機会損失大きい

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わが身は自分で守るしかない。どうすればいいのか。私は、ワクチン接種をお奨めしたい。ところが、若年世代のワクチン接種率は低い。7月25日現在、70歳代以上の3回目接種率は90%を超えるのに対し、12~19歳は33%だ。

6月16日、福島県相馬市が発表した調査結果が興味深い。相馬市はワクチン接種が全国で最も迅速に進んでいる自治体の1つだ。6月15日現在、中高生1834人中1066人(58.1%)が3回目接種を終えている。全国平均より27.1%高い。

相馬市によれば、4月1日から6月15日のオミクロン株流行期間に中高生65人が感染しているが、3回目接種完了者、未完了者の感染率は0.67%、7.16%だった(表)。相馬市では、3回目接種により、中高生の感染を91%予防したことになる。

(外部配信先では表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

コロナに対しては徐々に免疫が形成される

この結果は、医学的にも納得がいく。コロナはインフルエンザのように、1回のワクチンで完全な免疫はできない。何度も感染し、何度もワクチンを打つことで、徐々に免疫が形成される。人生経験が短い若年世代は、新型コロナ流行前から存在した、従来型コロナに感染した経験が少なく、免疫をもっていなかったのだろう。ただ、高齢者と比べて、ワクチンへの反応性は高いから、ワクチンを追加接種することで、免疫力が急速に向上する。

以上、これから夏本番を迎える若者に伝えたい情報だ。科学的に合理的な対応を採りながら、夏を満喫していただきたい。

上 昌広 医療ガバナンス研究所理事長

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かみ まさひろ / Masahiro Kami

1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

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