それは、文科省自体が「学生1人ひとりの立場に立って、きめ細かな対応」を放棄しているからだ。例えば、教員職員免許法に基づいて文科省が実施する教員資格認定試験の令和4年度の受験要項には、発熱や倦怠感などのコロナ感染を示唆する症状、および濃厚接触者、自宅待機者を挙げ、「以下に該当する場合は、受験を見合わせてください。これらを理由とした欠席者向けの再試験は実施しません」と記されている。
この状況は、感染症法を所管する厚生労働省も変わらない。同省は医師国家試験など22の国家資格試験を実施しているが、入院中、宿泊または自宅療養中、一部の濃厚接触者の受験は認めず、再試験も実施していない。
厚労省は、その理由として、NHKの取材に対し、「短期間で追試の問題を作成するのは困難だ。広く機会を与える観点から柔軟な形で行われている大学入試などとは異なり、(医療関係職種の国家試験では)従来から心身の不調を理由とした追試は実施していない」(NHK NEWSWEB/追試はないの? コロナ禍の国家試験/2022年2月7日配信)と説明している。コロナと「心身の不調」を一緒に、議論していることには呆れざるをえない。要は面倒臭いことはしたくないと言っているだけだ。こんな無責任なことはない。
感染症2類相当から5類への変更は行われず
無責任なのは、官邸も同様だ。岸田首相は「ウィズコロナでも経済引き上げる」(7月25日、経済財政諮問会議)など、ウィズコロナを強調する。ところが、松野官房長官は7月13日の記者会見で「(コロナを5類に変更することを)現実的でない」と発言している。
2類感染症とはポリオ、重症急性呼吸器症候群(SARS)、鳥インフルエンザなど、感染した場合、重症化・死亡するリスクが高い病原菌だ。だからこそ、隔離が必要だ。こんな感染症とは、「ウィズ」の状態を維持できるはずがない。コロナを感染症法2類相当から5類に変更すれば、多くの問題は解決するが、政府は臨時国会まで動くつもりはなさそうだ
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