さらに、同日、学生に対して、「教養学部前期課程における定期試験代替措置とその廃止について」という通知を出し、「進学選択実施における学生間の成績の公平性がきわめて強く求められます」と述べている。進学振り分けでの平等性を担保したいなら、欠席した学生には、補講・追試で単位を認定するも、その科目の点数を、進学時の平均点の算定から除外するなど、やりようはあるはずだ。
現に、東京大学は今年3月の入学試験の合格判定で、コロナ感染により2次試験を受験できなかった13人は共通テストの成績や高校が作成した調査票などで合否判定し、共通テストを受験できなかった4人は2次試験の成績、および調査票などを用いて評価し、救済している。今回の東京大学の説明は、額面通りには受け取れない。
東大と京大の対応は対照的
京都大学の対応は違う。4月1日に発表した『感染予防マニュアル令和4年度前期授業等の実施における配慮について(第8版)』に、感染した学生に対して「部局長及び授業等の担当教員の判断により、履修上の配慮を行うこと」「孤立しないよう連絡を取る」「担当教員と学生との双方向の連絡体制を確保する」とある。東京大学と京都大学への学生への対応は対照的で興味深い。
実は、東京大学の対応には、感染症法の主旨を無視している疑いがある。それは、コロナ感染で入院や自宅療養が求められるのは、感染症法に基づく法的措置だからだ。その目的は、感染を拡大させないための防疫だ。だからこそ、軽症や無症状者にも適応される。社会の防疫のために、国民に犠牲を強いるのだから、機会損失を被った人を救済する義務があるだろう。
では、政府は、どのように対応しているのだろう。もちろん、政府も、問題は認識している。文部科学省は、「学生1人ひとりの立場に立って、きめ細かな対応」「不安の中にある学生に寄り添った対応」、「判断の理由や根拠も含めて学生1人ひとりに伝え、学生の理解を得るよう努めること」を求める通知を各大学に出しているが、説得力がない。
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