欧米景気後退で日本人がさらに「貧しく」なる根拠 ほかの国より世界情勢の影響を受けやすい理由

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過去30年間、日本のGDP成長率は平均して潜在成長率を1.2%下回ってきた。その結果、1人当たりのGDPは年率0.6%増という蝸牛の歩みさながらのペースで推移してきた。

要するに、日本には2つの問題がある。第一は、生産性の伸び悩みにより、潜在成長率が低下していること。第二は、その潜在成長率すら達成できないことである。

マクロ経済の不安定性をさらに加速させる円安

急激な円安は日本におけるマクロ経済の不安定性をさらに悪化させている。円安は輸入品の円価を上昇させ、したがって、消費者の購買力のさらなる低下を招いている。消費者支出の40%近くは、エネルギー、食料、衣料、履物など、輸入品が占めている。消費税増税を差し引いても、これらの品目は2012年から16%値上がりしている。

一方、個人消費の残りの60%を占める品目の物価は、同期間にわずか1.5%しか上昇していない。つまり、2012年以降の消費者物価指数(税引)の上昇分の93%は、輸入への依存度が高い品目によってもたらされているのである。そして、2021年初からの上昇の100%は、こういった輸入に大きく頼った品目によるものだ。

連邦準備制度理事会(FRB)が用いるコアインフレの指標(食料とエネルギーを除いたすべての品目)を基準にすると、2021年1月以降のインフレ率はゼロである。

日本は、円安によって日本の家計から石油、食料、衣料などの海外生産者に所得が移転する「悪いインフレ」に見舞われているのだ。これはOPECによる石油価格の上昇と同程度に有害である。同時にこれは、日本の家計から日本の多国籍大企業に所得が移転していくことにもなる。

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