欧米景気後退で日本人がさらに「貧しく」なる根拠 ほかの国より世界情勢の影響を受けやすい理由

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縮小

もう1つ、見落とされがちな要因がある。家計は消費を維持するために、貯蓄をほとんどしなくなり、日々の暮らしに追われるようになった。1980年代前半、家計の貯蓄率は可処分所得(税引後)の約16%であった。日本人は貯蓄する文化があるという神話が生まれるほどである。

ところが、貯蓄率は1980年代後半にやや縮小し、その後、失われた数十年の間に急落。2013〜2015年にはマイナスにまで落ち込み、2016〜2019年には平均1.3%という低水準にとどまっている。

潜在成長率を下回る経済

こうしたことが原因で、日本経済は経済的なショックを吸収する能力が低下している。

通常の景気循環では、経済の実質GDPは潜在GDPと呼ばれる水準の上下を行き来する。潜在GDPとは、雇用が比較的完全に近く、物理的な生産能力が相対的にフルに近い水準で発揮された場合に達成されるGDPの水準である。

したがって、潜在成長率とは、経済が持続的に成長しうるペースのことである(経済が潜在成長率を大きく上回ったペースで成長しようとすれば、たとえわずかな期間であっても、インフレやサプライチェーンの問題など、さまざまな金融的・物理的ストレスを引き起こすことになる)。

景気後退が生じると、消費者と企業の双方に累積需要が蓄積される。一時的な財政・金融刺激策によって景気後退からの回復が促進されると、この累積需要が解放され、経済はフル稼働に戻り、その勢いによって以前の稼働力をわずかに上回る。ここで重要なのは、このようなサイクルを通じて経済が平均的に潜在成長率近くの水準を推移し続けることである。

しかし、日本では、景気が打撃を受けると家計の手持ち資金が不足し、回復後も活発な消費を再開することができない。また、消費者の購買力が弱いため、企業は設備投資を控えてしまう。その結果、財政・金融面での景気刺激策による早期回復の効果は弱まっている。

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