欧米景気後退で日本人がさらに「貧しく」なる根拠 ほかの国より世界情勢の影響を受けやすい理由

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さらに悪いことに、新型コロナは2019年の消費税引き上げによる負担と重なった。その結果、2022年1〜3月期の日本の1人当たり実質GDPは、3年前の2019年春と比べ、いまだに2.6%低い水準にある。一方、他のOECD諸国では、同期間のGDPは2%上昇した。スペインを除けば、日本のパフォーマンスはOECDの中で最悪だった。

実際、2度の消費税増税(2014年と2019年)と新型コロナの流行の結果、2022年1〜3月期の日本の実質GDPは、ほぼ9年前になる2013年と比較して2%しか増えていない。個人消費は2013年に比べて3.4%減少している。

なぜ日本はこれほど脆弱なのか

他国では比較的軽度で一時的な影響しか及ぼさないショックが、なぜ日本ではこれほどの被害をもたらすのだろうか。その理由は、近代的な成長理論の大原則に日本が抵触していることにある。

1960年代から、経済学者の間では、市場経済がマクロ経済の不安定化を回避するためには、その成長は「均衡」をとらなければならない、すなわち、GDP、個人の所得、消費、投資が長期的には、大まかには同一のペースで成長しなければならない、ということが知られていた。

失われた数十年の間に、個人所得はGDPの成長に後れをとるようになり、その状況は時間とともに悪化している。このような不均衡は他の富裕国でも見られるが、日本ではより深刻である。

言い換えれば、GDPの成長が鈍化しただけでなく、その成長の果実が賃金、年金、預金金利などを通じて国民に行き渡る量が少なくなっているのである。1995年から2018年まで、1人当たり実質GDPの成長率は総計17%であり、OECDの中で2番目に低い成長率だった。

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