10歳の子供が「手紙1枚」で大儲けした秀逸な方法 「ケインとアベル」に学ぶマーケティング思考

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切手や郵便局の消印の工夫で、読まれるDMに変化する

当時、私が手掛けていたサービスのターゲットは年配の経営者でした。社長に山のようにたくさんのDMが届くのはケインの時代から変わりません。たくさんある郵便物の中からどう際立たせるか。そこで私が考えたのは、切手と消印にこだわることでした。

切手は、当社が扱っていたサービスのメインターゲットである年配の社長に好まれそうな、石原裕次郎さんの記念切手が定番でした。ケインほどではありませんが、なかなかしたたかだと思いませんか(笑)。この切手は大ぶりなのも良かった。封書に貼ったときに目立ちますから。送る相手の年齢や趣味嗜好に合わせたものを選ぶのがポイントです。

消印は、東京・渋谷の渋谷郵便局で「風景印」を押してもらっていました。通常、ハガキや封筒の切手の下に消印が押されますよね。その消印に「風景印」という特別なものがあるのです。各郵便局にゆかりのある風景や名所が描かれていて、渋谷郵便局の場合は当時忠犬ハチ公の像、神宮橋などの絵柄でした。「風景印」は朱色のスタンプで押してくれ、かつ大きくて目立つことがポイントでした。

いつも渋谷郵便局に受け付けギリギリの時間に大量に持ち込んで、「風景印でお願いします」とお願いして嫌がられていたのは、懐かしい思い出です。これが本当に効果抜群だったのです。ほかの手紙と並べたときに、インパクトがまるで違いました。まさに、受け手がどんな気持ちになるか、その気持ちをいかに利用するかというケインに学んだマーケティング思考をもとに出した工夫です。

ちなみに検索サイトで「風景印」と入れると、日本郵便のホームページに飛び、都道府県ごとに検索できます。47都道府県すべてに「風景印」を実施している郵便局があるようです。どれも趣向が凝っていて面白いですよ。

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