10歳の子供が「手紙1枚」で大儲けした秀逸な方法 「ケインとアベル」に学ぶマーケティング思考

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ケインの「したたかマーケティング」

私がケインをすごいと思ったのは、そのしたたかさでした。

例えば、どこのマッチメーカーも、ケインが手紙に同封した切手を使わず、マッチ箱と一緒に返送してきました。つまりケインのマーケティング費用は、最初の手紙の郵送代だけ。ケインは最初から「小さな子どもが少ないお小遣いから買った返信用切手を大人は使わない」と読んでいました。

10歳の子どもながら、大人はこう考えるだろうと心情を先読みすることで、必要最低限の費用で大規模マーケティングをやってのけたのです。手紙の宛先を、明らかに子どもが書いたとわかるように拙い字にしたのもおそらくケインの狙い、いわばマーケティング的な仕掛けだったと思います。企業には毎日たくさんの郵便物が届きますが、差出人が子どもというケースはごく少ないので、それだけでとても目立ったと思います。

大きな企業になれば、社長が自分宛の郵便物を全部チェックすることはありません。秘書がまず開封し、社長に見せるか見せないかを判断し、仕分けします。そのときに明らかに子どもが書いたかわいらしい文字ならパッと目につくでしょうし、無下に廃棄したりはしないでしょう。そこまでケインは読んでいたのです。

このようにたった1通の手紙でも、相手に深く印象付けることができます。

では、こうしたマーケティングを現代に応用すると、具体的にどんな方法が考えられるでしょうか。私が実際に試したことがあり、効果的だった方法を紹介します。

あなたは自分宛に届いたダイレクトメール(DM)をどれくらい開封していますか。もしかしたら、大部分を読まずにゴミ箱に直行させていませんか。

マーケティングの世界には「センミツ」という用語があります。漢字で書くと千三つ。1000人にDMを出すと、およそ3件の反響があることを示しています。一般的に、DMのレスポンス率はおよそこれくらいだといわれています。

起業当初は「知名度を上げる」と言ってもテレビCMには資金力がなく手を出せません。おそらく多くの起業家がまず思い浮かべるのがDMでしょう。コストゼロとまではいきませんが、うまく1000分の3に選ばれれば、かなり費用対効果の高い宣伝手段となります。

ではどうすればいいのでしょうか。

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