旅をしながらお金を稼ぐ「おてつたび」が人気な訳 「旅行では経験できないおもしろさ」と参加者

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「地方では、知らない人や物事を受け入れるのに抵抗を感じる方が多いので、時間をかけてていねいに説明し、関係を作っていきました。すると抵抗を示しながらも、後継者がいなかったり、人口減少の問題だったりで、最盛期の人手不足をなんとかしたいと、何度も本音を口にしていました。おてつたびはこうした短期的労働を支えられると確信しました」

全国行脚しておてつたびの構想を説明。1件1件、思い出深い(写真提供:永岡さん)

永岡さんが地道に活動するなかで、次第に行政や農協が共感し、農家や事業者とのマッチングをしてくれるようになったことも、取り組みを大きく加速させた。

「行政や農協が間に入ってくださることで信頼関係が作りやすく、出会える事業者の方が増えました」

転機となったのはコロナ禍だった。海外への渡航が制限された2020年。それまで目的の旅先を「海外」としていた人が「国内」に目を向けるようになり、おてつたび参加者も一気に増えたという。

「“灯台下暗し“といいますけれど。コロナ禍は日本の良さを気づかせてくれるきっかけになりました」

ただの手伝いではないおてつたびの魅力

おてつたびの参加者と手伝い受け入れ事業者は、サービスを利用してどのように感じているのだろうか。

大学2年生の北見紗葵さん(20)は、過去4回おてつたびに参加したリピートユーザーだ。2021年11月に初めて参加してから、大学の長期休暇期間を活用して各地を楽しんでいる。これまでに旅館での配膳、接客、清掃などを経験し、このゴールデンウィーク中には愛媛県愛南町のみかん農家で、河内晩柑の収穫や選果、出荷作業を手伝った。

熊本県の人吉旅館で接客指導を受ける北見さんたち(写真提供:北見さん)
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