旅をしながらお金を稼ぐ「おてつたび」が人気な訳 「旅行では経験できないおもしろさ」と参加者

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もちろん、知らない人を受け入れることは簡単ではなく、心構えや準備は必要だ。とはいえ、安東さん自身もIターンをして一から農業にチャレンジをした経験があるため、新しい取り組みには積極的だという。

手伝いの募集は、アスパラの栽培、収穫などで年に数回、2週間ほど募集する。手伝い中、参加者は安東さん宅の横にある離れの1棟に滞在する。

「最初はしっかり働いてくれるだろうか?と不安でしたが、日々を共にしていくとやっぱり情が湧いてくるんですよ。何人か受け入れると“次はどんな人が来るのかな?”と、楽しみになってくる。実はうちのスタッフにも刺激になり、やりがいにもなっているんじゃないかって思います」

おてつたび参加者と食事を共にすることも(写真提供:安東さん)

安東さんは、このおてつたびの取り組みには可能性も感じるという。

「おてつたびの後、うちのアスパラを定期購入してくれる人が多いんです。一時的な手伝いに限らず、細く長く続く関係になれることも、おてつたびの良さだと感じています。いずれは訪れてくれた人たちのなかから農家を目指す人が生まれたらいいな、と期待していますね」

ミドル・シニアエイジの参加者も増加

おてつたび参加者は学生や10〜20代が中心のようにも見えるが、コロナ禍を契機に、旅を愛する30代以降のミドル・シニアエイジも増えていると、永岡さんはいう。

「60代の方も参加いただいています。退職されて、時間やお金に余裕があり、何かしたい。行ったことのない旅先で、これまでの豊富な経験や知見をシェアできることは“生きがいにもつながっている”そうです」

永岡さんは「見たことのない景色を楽しみながら、豊かな人生経験を増やす人がもっともっと増えてほしい」と願っている。それがひいては地方地域の課題解決への一助ともなる。

「徐々に諸外国への渡航制限が解除されていき、観光活動が解禁されている昨今ですが、国内への旅行や関心は薄れることはないのではないかと思います。むしろもっともっと暮らす国に着目して、行ったことのない場所を楽しんで欲しい。私たちはこれからも全国の地域や産業の良さやおもしろみを伝えるお手伝いをしていきたいですね」

永見 薫 ライター

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ながみ かおる / Kaoru Nagami

1982年生まれ。兵庫県出身、東京都在住。大妻女子大学比較文化学部比較文化学科卒業。中国と日本の女性史を中心に比較文化学を学ぶ。複数の企業勤務を経て2014年よりライター。主な執筆テーマは在学中より関心の高かったジェンダーや多様性のほか、働き方、子育て、まちづくり。1児の母。Twitter:kao_ngm

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