「老化の進み具合」はなぜ人によって違うのか 「現役時代の年収」と元気な老後との関連性

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

私の患者さんに、90歳を超えてニューヨーク市内の大学で教鞭をとる方がいます。いつも1人で病院に足を運ばれ、「来週の授業の準備で忙しいのよ」と笑顔で話をしてくれます。

この患者さんには目立った大きな病気もなく、大学で、バリバリ現役で授業をされていることからもおわかりになると思いますが、認知症もありません。それでも何か見落としがあるかもしれないと、認知症の検査をしてみると、間違いは1問もなく、満点をとられました。

90歳を超えた方に認知症の検査を行い、満点をとるのを見るのはそれが初めてでした。私はすかさずこう伺いました。

「長生きや健康の秘訣はなんですか?」

すると、患者さんは照れ笑いのような表情を浮かべながら、一度は「特に何もないわよ」と即答したものの、その後、少し考えるようなそぶりを見せました。そして、少し間をおいて、こんなふうに答えてくれました。

「まあ、好きなもの、夢中になれるものがあるってことかもしれないわね」

老化には個人差がある

老化には個人差が大きいことが知られています。そしてそれは何より、私たちの生き方が大きく異なることに由来しています。

では、この老化の早さの「違い」を生み出すものは何なのでしょうか。

その答えの一端を教えてくれる、アメリカでのこんな研究があります。

この研究では、アメリカで中央値85歳の1677人の参加者を14年間観察し、加齢に伴う身体機能や認知機能の変化を追跡しました。高齢な人を多く含んだ試験でしたが、参加者の約5割、891人が機能を維持できていました。

この機能を維持した人たちの特徴を見てみると、予想どおりといえば予想どおりかもしれませんが、持病が少ない人、「血管危険因子」が少ない人という共通点がありました。

次ページ「血管危険因子」とは?
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事