福岡の17歳が撮った映画に上映依頼が殺到の訳 起立性調節障害の女子校生が自身の半生を撮る
制作中から反響が大きく、地元福岡のメディアなどで取り上げられてきた。
監督の西山さんが映像制作に興味を持ったのは、小学2年生の頃だ。
「最初は、友達にちびまる子ちゃんの実写版を演じてもらい、私がタブレットで撮影・編集して、身近な人に見てもらっていました。おばあちゃんが喜んでくれるのがうれしくて楽しくて、映像づくりが好きになりました」(西山さん)
中学はソフトボール部に所属。学校も部活も大好きで、朝一番に学校に行く、元気で陽気なタイプだった。しかし、中学1年が終わった春休みから突然ご飯を食べられないように。それでも学校へ通っていると、教室で倒れて救急搬送された。
検査の結果、判明した病名は「起立性調節障害」。病名こそあまり知られていないが、自律神経の不調で思春期に発症しやすく、実は中学生の10人に1人がかかると言われている。
主な症状は、朝起きられない、立ちくらみ、頭痛、倦怠感など。朝起きられないことで、学校に行けず、「さぼり」「怠け者」とレッテルを貼られがちだ。しかし、その原因は身体にあり、西山さんの場合、朝は異常な血圧低下や心拍上昇のため起き上がれず、夜は血圧が上がって眠ることができない。
そのため、たまに登校できても保健室登校で、眠れない深夜に孤独を深めていった。「治療法が確立していないので、何十カ所も病院を回りましたが、5年以上たった今でも病気は回復していません」(西山さん)
友人と映画を撮る決意
どうにか受験を乗り越え、地元の学力トップ高に進学。張り切って部活にも入ったものの、やはり午前中は体調がすぐれず、学校さえなかなか行けずに退部。1年次の冬、クラスメイトの小田さんが教室で何か書いている姿が気になり、サッと紙を取って授業中に読んでみた。
「すごい文才!」。心情を吐露した文章が西山さんの心に刺さり、涙があふれた。小田さんは「西山が紙を返しに来たとき泣いていて、すごくビックリしました。私も部活をやめて孤独に陥り、気持ちを書いてはけ口にしていただけで、人に見せるつもりなんてなかったのに…」と振り返る。
「小田に自分の本を書いてほしい。そして、私が50歳くらいで映画監督になれたら、映画化したい」
そう思った西山さんは、自分の中学時代の辛い経験を小田さんにすべて話した。
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