「山手線止めてんだぞ!」どちらが悪かったのか 利己的な乗客、激高した駅員ともに想像力が欠如

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渋谷ほどの巨大駅は今回だけでなく、ふだんからさまざまなトラブルが推察されるだけに、「ふだんから駅員はあれくらいピリピリしているのかもしれない」と思われてしまっても不思議ではないのです。この駅員が激高したことは、同じ渋谷駅の関係者たちに肩身の狭い思いをさせただけでなく、JR東日本全体にも疑いの目が向けられかねないほどのインパクトがあるニュースでした。

第2のポイントは、「相手の乗客だけでなく、自分たち駅員も撮られている」こと。駅員は乗客に「(防犯カメラの)映像で見るからよ。全部映ってるから。いいよ、あとで見るから」と言っていましたが、撮られているのは自分も同じ。冷静に考えたら、「これほどの大声で怒り続けていたら、ホームに居合わせた人々から撮影されてしまう」ことくらいわかるはずです。

この駅員は「自分は正しいことをしているから、これくらい怒っても許されるだろう」という謎の自信があったのでしょうか。「カメラで撮られている自分がどんなにひどい姿なのか」を想像することがまったくできていなかったのです。

多くの人々は今回の動画を見て、「自分はこの駅員のようなことは絶対にやらない」と思うでしょうが、必ずしもそうとは言い切れません。人間は「自分が正しいことをしている」と思っているときほど客観性を失いやすく、とんでもない言動を行ってしまうところがあります。さらに「自分が正しい=相手は悪い」という図式になりやすいため、相手への懲罰感情が芽生え、ますます自分を見失ってしまうのです。

JR東日本に求められる今後の対応

実際、今回の駅員は「相当高くついちゃってるぞ、これ。止めてんだからよ、電車」「悪いけど警察行くから今日帰れない。事情聴取なげえから」「その態度まず直せ」などと乗客への懲罰感情をあらわにしていました。駅員という立場を超えて、自らが悪人を処罰するような言動は、明らかに職域から逸脱したものだったのです。

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