「飲酒運転の罪と罰」どれだけ重いか知ってますか 運転者本人だけでなく周囲が責任問われることも

✎ 1〜 ✎ 91 ✎ 92 ✎ 93 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
関係者も努力をしていますが残念ながら根絶されていない現実があります(写真:megafℓopp/PIXTA)
この記事の画像を見る(5枚)
非常に残念ながらいまだ根絶されていない飲酒運転をとことん考える短期集中連載。第1回「『飲酒運転で事故る人』が根絶されない残念な現実」に続く第2回をお届けする。

“不可抗力”という言葉がある。天変地異や、人の力では予測できず防げない事象を意味する。

一般的な交通事故では、法令を遵守し万全を期したつもりでも、ドライバーの体調急変など予測不可能な事態に陥り(≒不可抗力により)事故につながるケースがあり、これが年間300件ほど発生している。

ドライバー異常時対応システムであるEDSSの最新版を搭載したマツダのプロトタイプ

国土交通省では2016年にこうした体調急変に対応する「ドライバー異常時対応システム(EDSS /Emergency Driving Stop System)」のガイドラインを制定。現在、システムがドライバー異常を検知して車両停止までを制御するEDSSが具現化され、複数の乗用車、大型商用車に実装済みだ(東洋経済オンライン「マツダが実現した『緊急時に命守る』スゴ技の正体」)。

飲酒運転は根絶できるはずなのに

一方、飲酒運転は人の自制心によって100%防げる。「飲んだら乗るな、乗るなら飲むな」は鉄の掟だ。よって飲酒運転による事故はゼロにする、すなわち根絶することが可能なはずなのだ。

にもかかわらず飲酒運転の摘発や事故は後を絶たない。警察庁によると飲酒した場合の死亡事故率は、飲酒事故以外の死亡事故率よりも約9.2倍高いという(2021年)。

飲酒死亡と重傷事故の人的要因別比較(出所:警察庁)

こうした飲酒死亡事故ではさまざまな統計データが示されており、たとえば年齢別に免許保有者10万人当たりの発生件数でみると30歳未満(16~29歳)が最多で、30~85歳以上よりも2~4.6倍高い。

飲酒死亡事故件数の飲酒状況別比較(出所:警察庁)

発生時間で区切ると30歳未満では22時から6時までの間に78%が発生し、65歳以上では14時から22時までに66%が発生と時間が早まる。さらに、運転者の飲酒状況は酒酔い&酒気帯び(呼気0.25mg/ℓ以上)が62%を占めるという驚きのデータも示された。

加えて事故類別で見ると車両単独での発生率が高く、酒酔いでは59%が、酒気帯びでは64.6%にのぼる。また、死亡者はドライバーが68%、同乗者が7%であるのに対して、第三者は25%と同乗者よりも高い値であることがわかった。これらの統計からも、飲酒運転が社会的損失度を高めていることは明らかだ。

次ページ飲酒運転をした人への厳しい処罰
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事