「飲酒運転で事故る人」が根絶されない残念な現実 厳罰化などで大幅に減ったが「ゼロ」にならない

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中国の歴史書である漢書には「酒は百薬の長」との文言が残る。しかし、それは適量での話。筆者は大病して飲酒できなくなったが、以前は週に1度は飲酒機会があった。けれど、一度たりとも飲酒運転はしていない。これは言うまでもなく人として当然のことだが、これができないドライバーがいる。

適量の飲酒は気分転換につながる。しかし、適量であっても運転操作に対しては悪影響を及ぼす。お酒のアルコールにはマヒ作用があり脳機能を低下させる状態をつくるからだ。

具体的には飲酒によって血中アルコール濃度が高まると、脳のうち判断力を司る部位「網様体」がマヒし、正しい判断ができなくなったり、ろれつが回らなくなったりする。まっすぐ歩けなくなるのも網様体のマヒが原因だ。

つまり、運転操作に必要な「正しい認知、判断、操作」ができなくなる。たとえ顔が赤くなく、見た目はいつもと変わらなくても注意力や判断力は平常時よりも大きく低下したり、誤ったりする。また、車速のコントロール能力が著しく低下した状態での事故は、冒頭のように悲惨な結果に結び付く。だから飲酒運転は悪であり、絶対にやってはならないのだ。

飲酒事故による人的要因、つまり飲酒したドライバーがどんな原因で事故を起こしたのかという統計がある。飲酒事故以外(≒飲酒していない状態)で死亡・重傷事故を起こした理由は、全体の54.7%が「安全不確認」とされた。

飲酒運転は複数要因から事故に結び付く

一方、飲酒事故による死亡・重傷事故の要因をみると、正しい操作ができない「操作不適」と、「前方不注意」が共に22.5%と高く、次いで「安全不確認」が21.4%と続く。つまり飲酒運転は、こうした複数の要因から正しい認知、判断、操作ができなくなり、事故に結び付くことが明らかになった。

ちなみに交通用語としてたびたび用いられる「安全不確認」とは、確認が可能な速度に減速(徐行、一時停止)しながら、可能な確認を尽くさなかったために相手当事者を発見できず、または発見が遅れたため事故を発生させたことさす。

同様に「操作不適」とは危険、または危険のおそれのある事象(状態)を認識し、それに対する措置を講じたが操作を誤ったり、驚がくして操作を躊躇したりしたことによって事故を発生させたものをいう(出典:交通事故総合分析センター〈ITARDA〉)。

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