「飲酒運転で事故る人」が根絶されない残念な現実 厳罰化などで大幅に減ったが「ゼロ」にならない

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酒類を提供するメーカー各社でも飲酒運転の根絶に積極的だ。たとえばキリンビール(キリンホールディングス)では2009年から(一財)全日本交通安全協会が推進している「ハンドルキーパー運動」を支援する。

ハンドルキーパー運動とは、車で飲食店などへ向かった際、あらかじめ飲酒しないドライバー(=ハンドルキーパー)を決めることで、飲酒運転をなくす取り組みだ。同時にアルコールを含まない(アルコール0.00%)の商品を継続的に進化、販売させることで、適正飲酒による楽しい食事の場と飲酒運転根絶の両立を目指す。

自動車メーカーも飲酒運転ゼロへと動く。日産自動車では飲酒運転根絶に向けたコンセプトカーを2007年に開発、公表した。

機械的に飲酒運転を防ぐ仕組みの最前線

仕組みはこうだ。ギア段を変更するシフトレバー部に組み込んだアルコール臭気センサーにより、シフトレバーに触れた手のひらの汗に含まれるアルコール検出を試みる。ここでアルコールが検知された場合は、音声とカーナビ画面への表示によってドライバーへ警報し、同時にシフトレバーを動かせない「シフトロック状態」にして走行できなくする。

日産が開発した飲酒運転の根絶に向けたコンセプトカー。シフトノブ部(赤囲い部)にセンサーがある

さらに、シート周辺に配置したアルコール臭気センサーによりアルコール臭気を検知し、仮にアルコールが検知された場合は音声とカーナビ画面への表示によって、ドライバーへ警報する。

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また、光学式カメラを使いドライバーの覚醒度を推論し、飲酒の疑いがある場合は音声とカーナビ画面で警告しつつ、シートベルトを一時的に強く巻き上げる。同時に、運転中の車両挙動からもドライバー状態を検出し、同じく飲酒運転の可能性がある場合はドライバーへ警告を行う。まさしく二重、三重の仕組みが考えられた。

ホンダでは所持しているだけで施錠や解錠、さらにはエンジン始動ができるスマートキーに対応した「ポータブル呼気アルコール検知器」を2016年に試作した。このポータブル吸気アルコール検知器に息を吹きかけ、仮に高い濃度のエタノールが検知された場合は、スマートキーにその情報を自動伝達し、エンジン始動ができない「アルコール・インターロック」機能の役割を果たす。

ホンダが開発したポータブル呼気アルコール検知器の試作モデル

連載第2回は車両等提供罪、酒類提供罪、同乗罪、そして2022年4月に施行された社用車における運転前後アルコール確認について考えてみたい。

西村 直人 交通コメンテーター

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にしむら なおと / Naoto Nishimura

1972年1月東京都生まれ。WRカーやF1、さらには2輪界のF1と言われるMotoGPマシンでのサーキット走行をこなしつつ、4&2輪の草レースにも精力的に参戦中。また、大型トラックやバス、トレーラーの公道試乗も積極的に行うほか、ハイブリッド路線バスやハイブリッド電車など、物流や環境に関する取材を多数担当。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)理事。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。(財)全日本交通安全協会 東京二輪車安全運転推進委員会 指導員。(協)日本イラストレーション協会(JILLA)監事。★Facebook「交通コメンテーター西村直人の日々

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