世界で最も高齢化が進んだ日本よりも
かつては英米のほうが高齢化国だった。
65歳以上の人口が総人口に占める比率を「高齢化比率」と呼ぶことにしよう。
日本の値は、28.7%だ。
ほかの国をみると、アメリカ17.3%、イギリス18.8%、ドイツ22.0%、フランス21.1%、スウェーデン20.5%、韓国16.6%などとなっている。
日本は、これらの国に比べて、飛び抜けて高い。
開発途上国ではこの値は低いので、日本は世界で最も高齢化が進んだ国だ。
日本経済から活力が奪われたとしばしば言われるが、その大きな原因が人口高齢化にあることは、間違いない。
日本は、昔から高齢化率が高かったわけではない。
図表1に示すように、1980年代頃までは、アメリカやイギリスのほうが高かった。
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とくに、イギリスが高かった。観光地にいくと、老人が多いのが印象的だった。
それに対して、日本の観光地には若い人たちが多い。大きな違いだと思った。
当時は、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と賞賛されていた時代だ。そしてイギリスは、「イギリス病」で疲弊の極にあった。
アメリカ経済もふるわず、アメリカ人は、「われわれの子どもたちは、われわれより貧しくなる」と真剣に心配していた。
その当時の英米と日本との経済力の違いをもたらした大きな原因が、人口構造だったのだ。
ところが、1990年代の中頃以降、日本の高齢化率が急速に高まり、英米を抜いた。そして、この頃から、日本経済の長期停滞が始まった。
なお、図表1には示していないが、多くのヨーロッパ諸国も、英米と同じような推移をたどっている。
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