深刻「世界の水不足」を技術で救う日本企業の凄さ 「水の惑星」地球だが、真水は0.01%に過ぎない

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世界の水不足を解決する「水ビジネス」で存在感示す日本企業とは?(写真:NaokiKim/Getty Images Plus)
日本では少子高齢化が進み人口は減少する一方だが、世界人口は爆発的に増えている。国連の予想では2020年に77億9480万人だった人口は2050年には97億3503万人となる(国際連合:World Population Prospects 2019)。30年間で約20億人も増加すれば、さまざまな問題が生じるはずだ。まず、「水」は足りるのだろうか。水がなければ人間は生きていけない。
地球は水の惑星と言われているが、地球の水のほとんどは海水で、真水は全体のわずか0.01%に過ぎない。真水は稀少資源そのものだ。人口がどんどん増加しているので、この希少資源を大勢の人々が奪い合うという構造が生まれつつある。そこで、注目されるのが真水を作り出す「水ビジネス」だ。
水ビジネス関連企業について、東洋経済新報社・田宮寛之記者の新刊『2027 日本を変えるすごい会社』から一部を抜粋・再構成してお届けする。

海水から真水を作り出す

世界中で水が足りないならば作るしかない。水を作るには熱を利用するか、濾過膜を利用するか、2つの方法がある。昔は海水を熱して水蒸気を集めて淡水にする方式が主流だったが、これでは燃料費がかさむし、CO2が大量に発生してしまう。そこで、最近では海水に高い圧力をかけ、濾過膜を通過させて塩分や不純物を除去する方式が優勢になっている。中東ではすでに多くの淡水化プラントがあるが、今後は世界的にもっと増えていくだろう。

大阪に本社のあるササクラ(6303)は有力な淡水化プラントメーカーのひとつ。1949年に捕鯨船に搭載する海水淡水化装置の製造で創業した。

1966年に松島炭鉱池島鉱業所へ日本初の陸上用海水淡水化装置を納入、1967年にはクウェート政府から当時世界最大の海水淡水化プラントを受注した。その後、中東諸国の求めに応じてプラント建設を行うなかで海外進出が本格化していった。

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