韓国の後塵拝す日本の低賃金、労働者側の問題点 勤勉だがモチベーションは低い日本の労働者

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低賃金については、よく「経営者がケチって賃金を出さないのが悪い」と指摘されます。岸田文雄首相も「新しい資本主義」で分配の強化を目指していますが、本当に分配が少ないことが問題でしょうか。

企業が生み出した付加価値のうちどれだけ労働者に賃金を分配しているかを表わすのが、労働分配率(=人件費÷付加価値)。この数値は年によって変動が大きいですが、概ね6割前後で、日本は先進国の中で特に高くも低くもありません。日本の低賃金は、付加価値の分配が少ないことによるのではなく、そもそも付加価値が少ないことによるのです。

では、日本の労働者が生み出す付加価値が少ないのはなぜでしょうか。仕事のアウトプット(パフォーマンス)について、ベクトル・能力・モチベーションという3つの要素が指摘されます。

パフォーマンス=ベクトル×能力×モチベーション

「ベクトル」とは、仕事に取り組む方向性のことです。よく「無駄な会議が多い」「間違ったターゲットに営業をして無駄骨に終わった」といった話を耳にしますが、「ベクトル」は主に業務を指示する経営者の問題です。

残り2つ、「能力」と「モチベーション」は、労働者に関することです。日本の労働生産性が低いのは、経営者が示す「ベクトル」が不適切というだけでなく、労働者の「能力」と「モチベーション」にも問題があるのではないでしょうか。

高学歴化する世界から取り残される日本

まず、労働者の「能力」。義務教育の段階で日本人の能力が世界最高水準であることは、各種の国際調査が証明しています。不自由なく読み書きができるという点で、日本の労働者は優れています。「読み書きができるなんて当たり前だろ」と思うかもしれませんが、移民が多い欧米諸国では、下級労働者は「読み書きができないのが当たり前」です。

しかし、高度な仕事をして、より大きな価値、新しい価値(イノベーション)を生み出すという専門労働者としての能力はどうでしょうか。

近年、先進国では高学歴化が進み、大学院進学率が軒並み上昇しています。フランスの38%という数字は驚きですが、日本は男子14.2%、女子5.6%にとどまり、OECD38か国中29位です。日本では昔も今も「学校教育は大学で終わり」で、高学歴化という世界のトレンドから取り残されています。

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