キーエンス、"カリスマ会長"退任の影響度 平均年収1440万円、高収益体質を守れるか

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つまり、キーエンスは単なるメーカーでなく、コンサルティング会社なのだ。大きな権限を持った営業スタッフが直接、顧客の生産現場などに入り込んでコンサル営業を行い、吸い上げた顧客ニーズを開発部門にフィードバック。価格競争に巻き込まれない付加価値の高い新製品を絶えず開発していく。

しかも「人件費はコストでなく、付加価値の源泉」という基本スタンスの下に、社員の平均年収は1440万円(平均年齢34.8歳)と上場会社でもトップクラスだ。創業以来こうしたビジネスモデルを確立し、キーエンスを高収益企業に育て上げてきた立役者が、滝崎氏だった。

退任発表後も株価は最高値を更新

大阪市内にそびえ立つキーエンスの本社ビル

そんな実力会長の退任にもかかわらず、株式市場にはまったく動揺が見られない。同社の株価は退任発表2日後の2月4日には上場来高値を3カ月ぶりに更新。6万円の大台に王手を掛ける格好となっている。

同社では2000年以降、滝崎氏が会長を務める傍らで、すでに15年にわたり非創業家出身者が社長を務めてきた実績がある。2008年のリーマンショック後はさすがのキーエンスも2年連続の2ケタ営業減益を余儀なくされ、佐々木氏は2010年12月に社長を退任した。

が、ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長やヤマダ電機の山田昇社長のように、いったん会長に退いた創業者が社長に復帰することはなく、取締役事業推進部長だった山本晃則氏が3代目の社長(現任)に就任し、滝崎氏は会長職にとどまった。そうした後進の育成が進められてきた後だけに、今回の会長退任も株式市場ではすんなりと受け止められたようだ。

もちろん、市場が好反応を示す背景には、キーエンスの足元の業績が絶好調であることも大きい。

会長退任と同じ2月2日にキーエンスが発表した今2015年3月期の第3四半期決算(2014年3月21日~12月20日の9カ月間)は、売上高が前年同期比26%増の2421億円、営業利益も同35%増の1265億円と高成長が続く。「主力のFAセンサーは国内外で自動車向けが特に牽引役となったが、電機、精密、半導体、液晶向けなども幅広く伸長した」(木村取締役)。

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