「料理がしんどい」と感じる人が増えつつある事情 一番の問題は「しんどい」と口に出せないことだ
夫は最近スパイスカレー作りにハマり、ドーナツや卵サンドも何回か作ってくれた。今、フルタイムに戻ってもっと働きたいと考えており、「夫は『いくらでも専業主夫するよ』と言うんですけどね」とSさん。彼女は一歩ずつ、夫婦で料理をシェアする生活を始めている。
一方、25歳以下のZ世代で価値観の変化を感じると小竹氏は指摘する。クックパッドは2018年からギャラップと提携し、世界約140カ国で「ワールド・クッキング・インデックス 世界の料理頻度から見る、ジェンダーギャップの現在と未来」という調査を毎年実施している。コロナ禍の2020年調査によると、140カ国全体で男性の料理頻度は女性の半分だったが、日本は、世界平均より下回って男性が女性の約3分の1になっていた。
男性の料理頻度は、日本でも世界でもコロナ禍で増える傾向が出ている。その中で、最も伸びが顕著なのがZ世代。健康・節約志向が高く、母親が共働きだった人が多いことが原因と考えられる。
主婦業がブラックワークになってしまった
品数が多く手をかけた料理を日替わりで整えることは、家族にとってはありがたいことだが、台所の担い手には大変な負担がかかる。外食しにくい状況で交代要員がいないと、食事作りが無休になってしまうからだ。ある意味、主婦業がブラックワークになった状態と言える。まじめな人ほど疲弊するのは当然だ。
毎日手の込んだ料理を作らなくても、栄養が足りていれば大丈夫だし、新鮮な野菜があれば塩でもむだけ、ゆでるだけでも料理として成立する。肉や魚も焼くだけで十分だ。今はさまざまな調味料があるから、調味料を並べてめいめいがシンプルな料理を好きな味にする、というのも楽しそうだ。料理の正解は、自分や家族の舌が感じるおいしさにある。
また、しんどいときは「しんどい」、と家族に伝えるのも必要ではないだろうか。抱え込んでいても家族は気づかない。訴えたら案外、作ってくれるなど、解決法を示してくれるかもしれない。話を聞いてもらうだけでも、心にかかった重い負担が少しは軽くなるだろう。
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