「料理がしんどい」と感じる人が増えつつある事情 一番の問題は「しんどい」と口に出せないことだ

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それまで、平日のお昼は、お腹がすいたときに残ったご飯やパンを食べるなど適当に済ませていたIさん、急に昼ご飯をちゃんと作らなければならなくなった。家族で昼から食卓を囲める日は幸せを感じるが、在宅でも皆が一緒に食べられない日もある。

夫には「〇時にリモート会議が始まるから」と、職場の事情に合わせて昼ご飯を出さないといけない。大学生の娘も「11時に家を出るから、お昼は10時にして」、午後2時ぐらいに帰ってきて「ご飯にして」などと言う。日によっては、お昼を2回、3回と用意しなければならないこともある。

人のインスタを見て気持ちがなえてしまう

「料理は好きでも嫌いでもないのですが、献立を思いつかないんです。同じ料理を2回食べるのは苦手ですし、夫の帰宅が遅い日は、帰宅に合わせて揚げ物を作るなど出来立てにもこだわってしまう。つくりおき料理もあまり知らないんです」というIさん。ある日の夕食は、サラダ、鶏南蛮、カボチャの煮物、スープの一汁三菜だった。

そんなにきちんと料理を作っているのに、Iさんは「インスタですごい料理がたくさん並んでいる投稿を見て、気持ちがなえてしまったりします。私の料理はつまらなさ過ぎて」と話す。

家族に作ってもらうことはないのか聞くと、「家族は家事にノータッチです。私は主婦なので、家事が仕事、夫にやらせるのは悪いと思ってしまいます。娘にはやってほしいと思いますが、バイトなどで忙しそうなので」とIさんは言葉を濁す。専業主婦だからと、料理のハードルを高くしてしまった結果、つらくなっているのだ。

コロナ禍が始まって孫が生まれた59歳のTさんも、専業主婦として料理を1人で背負い込む傾向がある。娘や息子が孫を連れて帰ってくるとうれしい反面、食事の支度はふだんの数倍大変になる。「娘には、帰ってきたときぐらい、と甘やかしてしまって料理させないです。嫁も孫の世話に手がかかる時期なので、台所には立たないですね」と話す。

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