プロ野球の市場規模は読みにくいが、2019年12月24日号『エコノミスト』誌は「1995年には日米ともにほぼ同じ2000億円弱だったプロ野球の市場規模が、現在では米大リーグが8000億円規模に飛躍させたのに対して日本は従来の規模にとどまり、4倍の差を付けられてしまった」と看破する。そして観客動員(こちらはNPBが詳細に発表している)は、コロナ前=2019年で2654万人(両リーグ計)。
対して、経済産業省による「特定サービス産業動態統計調査」の分類=「遊園地・テーマパーク」について、2019年の市場規模は6412億円で、入場者数合計は7161万人。市場の大きさ、つまりは狙うべき的(まと)が約3倍大きい。
年間約70試合(ホームのみ)しか行われない野球の試合、それも成績の浮き沈みによって左右される観客動員/売上規模を考えれば、野球事業だけに依った一本足打法(野球だけに)的な経営ではなく、より大きな「エンタテインメント事業」に踏み出す必然性は十分にあるだろう。それも、北海道という地に寄り添い、かつ差別性も高い「老若男女」というキーワードを軸にした――。
と考えると、このような大勝負を前にして「老若男女に向けたエンターテインメント・ブランディングのシンボル」としての新庄ビッグボス招聘にも納得し得る。目先の采配というよりも、宣伝効果を含む今後に向けた大きな還元価値をも踏まえて、ファイターズは人選をしたはずだ。
きつねは、どう鳴いているの?
先の『Full-Count』の記事によれば、「きつねダンス」について、「実はこの演出を実行すると決まったのは、開幕の1週間前」とのことなので、ここまで述べたファイターズの戦略方針との直接的な関係は薄そうだ。それでも結果的に「老若男女に向けたエンターテインメント・ブランディング」という一直線上に付置される。だから、はやり続けることに必然性がある
「きつねダンス」のBGMは、ノルウェーのコメディデュオ=Ylvisが歌う『The Fox(What Does the Fox Say?)』。曲中に何度も出てくるのは、このサブタイトル=「What Does the Fox Say?」(きつねはどう鳴いてるの?)。
――北の大地のエンタメきつねは、どう鳴いてるの?
――「ロー」「ニャク」「ナン」「ニョー」と鳴いてるよ。
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