「英語は文法間違ってもとにかく話す」がダメな訳 使える英文法の修得は暗記と理解の区別がカギ

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一方で、「理解」が必要な問題があります。例えば、次の問題を見てください。

You’ve got __on your tie. Did you have fried eggs for breakfast?(センター試験)

① a few eggs ② an egg ③ some egg ④ some eggs

このような問題は、暗記するものではありません。ネクタイに「卵」がついている場面を想像させるこの問題では、eggという単語をどう理解するか、数えられる名詞と数えられない名詞の「仕組みの理解」がポイントになります。

eggには数えられる名詞と数えられない名詞の使い方があります。殻がついた、まるまる1個の卵は数えられる名詞ですから、an eggやeggsといったようにa / anをつけたり、複数形にすることができます。一方で、形が崩れた「とき卵」の状態になると、数えられない名詞として扱い、a / anをつけることも複数形にすることもできません。

殻がついた、まるまる1個の卵がそのままの形でネクタイについていると考えるのは不自然です。だから、数えられない名詞として使われている③ some eggが正解なのです。

You’ve got some egg on your tie. Did you have fried eggs for breakfast? (ネクタイに卵がついているよ。朝食に卵焼きでも食べたの?)

暗記だけだとつまらない

「英文法なんてつまらないと思っていたけど、こんなに面白いんだと思いました」

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最近は、授業後に生徒からこのような感想をもらうこともよくあります。英文法の学習は、ただただ「暗記」だけが必要なつらい学習ではありません。このように正しく「仕組みを理解」しながら勉強することで、楽しく学習することができるのです。

楽しく学習すれば、知識はもちろん身につきやすくなります。そして、「使える知識」として頭に残ります。結果として、英語が今よりも読めるようになり、今よりも聞き取れるようになり、今よりも書けるようになり、今よりも話せるようになり、さらに学習が楽しくなるのです。大げさかもしれませんが、英文法の「仕組みを理解」しながら学習することで、英語の世界が変わるのです。

正しいやり方で英文法を学び、「エウレカ!(わかった!)」と言ってもらえれば、英語講師としてこれほど嬉しいことはありません。

宮下 卓也 河合塾講師

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みやした たくや / Takuya Miyashita

河合塾講師。東京大学卒業。高校1年~3年生、既卒生まで、基礎クラスから最難関クラスまで幅広く指導するほか、河合塾の講座テキスト作成チーム・全国摸試作成チームのメンバーとして教材や模擬試験の作成にも力を入れている。さらに学習法講演会での講演など、活動は多岐にわたっている。構文を重視した論理的な授業は、「とにかくわかりやすい」「実際に成績が上がる」と評判で、毎年数多くの受験生を合格に導いている。『大学入試 英文法Eureka(エウレカ)!』(かんき出版)ほか著書多数。

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