終末期患者を看てきたナースが思う「幸せな最期」 「つらい終末期を明るくすることはできる」

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人生最期の願いを叶える、「かなえるナース」の前田和哉さん。終末期を幸せに過ごすための方法を聞きました。「外部の看護サービスを利用すれば、闘病中でもお出かけできる」と前田さんは言います(写真:かなえるナース提供)
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終末期医療患者を中心に、病や障がいを抱える人の願いをかなえる付き添い看護サービス、「かなえるナース」。この事業を運営する株式会社ハレ代表の前田和哉さんによる初の著書、『自分らしい最期を生きた人の9つの物語』が6月に刊行された。
本書は、現役の看護師でもある前田さんがこれまでに出会った、「自分らしく悔いのない最期」を送った9人のドキュメンタリー短編集。自分や自分の大切な人がいつかこの世を去るときに、「後悔しないためのヒント」が実話を通してつづられている。
今回は、多くの終末期患者に寄り添ってきた前田さんに、「最期の日々を悔いなく生きるためのヒント」について、全3回でインタビュー。最終回は、誰もがいつかは迎える終末期をより幸せに過ごすための方法について伺った。
1回目:『「最期にビール飲みたい」願い叶えた看護師の想い
2回目:『83歳、余命2カ月だった彼女が最期に味わった奇跡

つらい終末期を明るくすることはできる

これまで救命医療や訪問看護の現場で、多くの終末期患者とかかわってきた前田さん。その現場経験で痛感したのは、終末期にさしかかると、どうしても病気の進行や症状を抑えることに重きが置かれ、それ自体が“生きる目的化”してしまう人が多いということだった。

病の進行と闘う時間が1日の大半を占め、日常の喜びや楽しみを求めることが少なくなっていく。

次第に身体の機能が低下し、少しずつ歩行ができなくなったり、食事もとりづらくなったりと、“できないこと”が増えていくことも、ますます患者の心に閉塞感をもたらす。その姿を間近で見ている家族も同様だ。

死に向かって進んでいるのは事実なのだから、患者も家族もふさぎ込むのは当然かもしれない。だが、前田さんはそんな中でも「希望を持つことはできる」と話す。

前田さんは、「かなえるナース」を立ち上げる少し前、訪問看護師をしていた頃に、末期がんだった義母を見送った経験がある。

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