「子どものワガママと我慢」との正しい向き合い方 我が子の才能を開花させるために親がすべき事

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たしかに、遺伝的な素質のちがいはかならずあります。

実際、5歳くらいになるまでには、かなりエンジンの大きさに差があることが見えてきます。いわゆる、「やる気」「自我」「積極性」と呼ばれるような性質です。

これらを遺伝で説明するのはナンセンスです。大人は子どものエンジンの状態を見ぬく必要があります。子どものエンジンが、スポーツカー並みに大きいものなのか、軽自動車みたいに小さいものなのか、ジェット旅客機のようなものなのか。挑戦することは楽しいこと、成功すればうれしいけれども失敗しても恥ずかしいことではない。そのように育てられた子どもは、大きなエンジンになっているはずです。

そして次に大事なのは、そのエンジンに見合ったブレーキが備わっているかどうかです。

エンジンがジェット機並みの子には、それなりの制御装置が必要です。もしも、そのジェット機並みの子のブレーキが軽自動車並みだとしたら、がまんを教えないといけません。動因が低く、原付バイクのような子に、フェラーリのブレーキは不要です。わがままを引きだすことが必要になります。

エンジンとブレーキのバランスをとる

つまり、わがままとがまんは、両方を育てていかないといけないのです。エンジンとブレーキの状態は人それぞれ。百人百様です。

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私は、エンジンを育てる方法も知っていますし、ブレーキを育てる方法も知っていますし、それらのバランス評価をかなり大切にしています。

あたり前のことですが、わがままの種類が、友達の物を盗る、順番や約束を守らないという身勝手な行動であれば、それを育てるのではなく、ゆずる、交換するということを教えていかなくてはなりません。そしてそういう子を叱るばかりではなく、リーダーシップを発揮できるような場面で、エンジンをフル稼働させてあげればいいのです。

すぐにブレーキがかかってしまう子なら、思いきり外を走り回らせてあげ(つまり、新しい楽しいことを見つける手助けをして)、エンジンを活性化させることも大切です。

一人ひとりをよく見て、エンジンとブレーキのバランスをとることが必要なのです。

奥田 健次 専門行動療法士、臨床心理士

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おくだ けんじ / Kenji Okuda

兵庫県西宮市出身。学校法人西軽井沢学園創立者・理事長。桜花学園大学大学院客員教授。法政大学大学院、愛知大学、早稲田大学など非常勤講師を歴任。一般社団法人日本行動分析学会理事、日本子ども健康科学会理事など。発達につまずきのある子とその家族への指導のために、全国各地のみならず海外からの支援要請にも応えている。2018年に日本初の行動分析学を用いたインクルーシブ教育を行うサムエル幼稚園を開園。著書に『拝啓、アスペルガー先生』(飛鳥新社)、『叱りゼロで「自分からやる子」に育てる本』(だいわ文庫)、『メリットの法則-行動分析学・実践編』(集英社)など多数。https://kenjiokuda.com/

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