在宅勤務で「昼から飲酒」48歳男性の行き着いた先 仕事と大量飲酒をする生活は長く続かなかった
「ときどき、亡くなった父の姿を思い出します。仕事から帰ると、ビール大瓶7本くらいを飲んで、ウイスキー、日本酒と続く大酒飲みでした。実は、妹がアルコール依存症で断酒治療を受けていました。
母からは、『あなただけは飲みすぎないように気をつけて』とことあるごとに言われ、『ハイハイ、わかってる』と軽く返事をしながら、自分だけは大丈夫だと思っていたんですが……」と、哲也さんは当時を振り返ります。
哲也さんが本格的に飲酒を始めたのは、就職してからです。仕事がハードだったこともあり、ストレスを解消するために同僚と毎晩のように飲みに行くようになります。ビールジョッキ2杯に続き、ウイスキーのロック3〜4杯を早いペースで飲み干し、同僚がつぶれていく中でも、哲也さんだけは平気だったと言います。
「父の体質を受け継いでいるのか、お酒に強いんです。父が毎晩お酒を飲んでいる姿を見ていたので、飲酒への罪悪感はまったくありませんでした」
哲也さんにとって、お酒の魅力は「おいしさ」と「ストレス解消」だと言います。飲み始めは、ビールののどごしやウイスキーのスモーキーな味わいなど、さまざまな種類のお酒を「おいしい!」と思いながら飲んでいるのですが、やがてストレスを解消するために酔うことが目的になって、とことんまで飲み続けてしまうのです。
同僚からは「佐原に誘われたらマズイ」と言われる
そんな哲也さんが20代後半になると、お酒のトラブルが目立つようになります。
「どこでも寝てしまい、朝、道端で目を覚ましたこともあります。電車で寝込んで、財布を盗まれたときは愕然としました。
それだけでなく、飲み会で先輩にタメ口で話し、後日同僚に、『お前、飲み会でヤバイこと言ってたぞ』と耳打ちされて真っ青になったこともあります。まったく記憶がなかったからです。お酒に対して罪悪感を抱くようになったのは、このときからですね」
やがて哲也さんは、32歳でステップアップをはかり転職します。しかし新しい環境になっても、週3日は同僚や後輩を誘って飲み会、週4日は自宅で飲む生活が続きます。休肝日はほとんどありませんでした。会社では、「佐原に誘われたらマズイぞ」「とことん飲まされるぞ」という噂まで立つようになりました。
そんな大量飲酒の毎日に、さらに拍車をかけたのがコロナ禍による在宅ワークです。一日中家にいると、仕事をこなしつつも空き時間が多くなった哲也さん。今までは夕方過ぎから飲み始めていましたが、「昼間から飲んでみようか」というささやきが心を満たした瞬間、お酒に手が伸びるのを止めることができませんでした。
初めは、ワインやウイスキーをチビチビ飲みながら仕事をしていたそうです。しかし、「飲みながらでも、けっこう仕事ができる」と気づき、昼からの飲酒が習慣化していきました。
「当然、飲酒量が驚くほど増えました。昼から長時間コンスタントに飲み続け、ブラックアウトして気がついたらリビングで朝を迎えるという生活の繰り返し。どのくらい飲んでいたか……あまりに大量で把握できていません。たしか、4リットル入りのウイスキーが2週間もちませんでした」
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