沖縄で発足する新たな「野球・冬リーグ」の可能性 ジャパンウィンターリーグが選手の未来を拓く

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沖縄県の主要な球場は2月のプロ野球春季キャンプに向けてグラウンドを整備する。12月になれば芝の養生のために、プロ野球選手の自主トレ以外には球場を使用させないことが多いのだが、鷲崎一誠代表は地元関係者と共に球場を所有する自治体を説得し、使用許可を得た。そしてこのリーグのGMには、沖縄水産時代、甲子園の優勝投手で元巨人、ダイエーの大野倫氏が就任した。

「最近、沖縄のスポーツ界はバスケットボール、サッカー、ハンドボール、卓球など非常に盛り上がっている。野球界もこれに続きたい。可能性しか感じない、全力で協力したい」と語った。大野氏は記者団の質問に答える形で「NPBのファームが1チームを編成して参加してもよい」と個人的な意見を述べた。

30歳リーダーの行動力

この会見は、元フジテレビアナウンサーの田中大貴氏が司会進行をする豪華版だった。田中氏は鷲崎代表の慶應義塾大野球部の先輩にあたる。

「今年2月の沖縄春季キャンプで鷲崎君を紹介されました。構想を聞いて大きな話だな、と思いましたが、私の立場では、選手たちにウィンターリーグに行きたいって思ってもらうためにはどうするか? 行った後何が起きるんだ? ということをしっかりと伝えていくことが大事かな、と思っています」と語った。

筆者は今年になって数多くのプロ、アマの野球関係者に会ったが、多くの人の口から「鷲崎君がこんな話を持ってきたよ」と聞いた。年齢は関係ないのかもしれないが、30歳の若きリーダーの行動力は恐るべきものだ。

改革の機運こそあれ、アメリカに比べて遅々として変化が進まない日本野球界にあって「野球のダイバーシティー」はこんな若者が実現するのかもしれない。今後も追いかけたい。

広尾 晃 ライター

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ひろお こう / Kou Hiroo

1959年大阪市生まれ。立命館大学卒業。コピーライターやプランナー、ライターとして活動。日米の野球記録を取り上げるブログ「野球の記録で話したい」を執筆している。著書に『野球崩壊 深刻化する「野球離れ」を食い止めろ!』『巨人軍の巨人 馬場正平』(ともにイースト・プレス)、『もし、あの野球選手がこうなっていたら~データで読み解くプロ野球「たられば」ワールド~』(オークラ出版)など。

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