ジャパンウィンターリーグの場合、参加費を支払う選手は出場機会が保証されている。打者の場合、少なくとも50打席、投手も20イニング程度か。最初は調子が上がらない選手でも、期間のどこかでいいところを見せることは可能だ。そういう意味ではアピールの機会は格段に増えるはずだ。
しかしながらトライアウトはプロ、アマ、あらゆるレベルで極めて「狭き門」だ。NPBの12球団合同トライアウトの合格率は概ね5%、独立リーグでも数%だ。いろいろな団体のスカウティングがあるとしても、120人のうち直接進路に結び付くのは1割程度だろうか。しかも日本人選手の場合、NPBに直接結びつくことはない。最大35万円を支払う「対価」としてはやや厳しいのではないか?と言う疑問もわく。
ジャパンウィンターリーグの発案者であり主催者である株式会社ジャパンリーグの鷲崎一誠代表は30歳。
佐賀西高校で野球をして慶應義塾大学に進むが、4年間1試合も出場することができなかった。4年秋シーズンを終えて悶々としていたが、アメリカでのウィンターリーグに参加した。今回と同様リーグ戦形式のトライアウトだった。
鷲崎氏は記者会見で「ここでアメリカ人の剛速球のピッチャーから逆方向にホームランを打つなど、活躍することができ、すごい自信になり活路が見いだせました。私のような境遇の人は、日本、世界にたくさんいると思います。そういう選手にチャンスを与えたい」と企画意図を語った。
参加することに価値のあるウィンターリーグ
夢を諦めきれない選手たちに「野球を思い切りする」場を提供するというのだ。つまりこのトライアウトリーグ参加すること自体に「価値」があるということだ。
このリーグのアンバサダーに就任した、元ダイエー・ソフトバンクの沢村賞投手、斉藤和巳氏は「僕は、プロ野球でケガで苦しみ、大変な時間を過ごしてきたという思いがあるので、この先の野球人生、そして野球を辞めた後の人生を模索し、何かを感じてもらえるような時間であってほしいと思う」と述べた。
ジャパンウィンターリーグのもう一つの大きな意義は「地元振興」だ。沖縄は日本有数の観光地ではあるが、日本の他地域で野球をやらない12月に、1か月に及ぶ「野球イベント」という新たな盛り上がりを作ろうとしている。地元の期待感は大きく、会見には宜野湾市市長、議長、読谷村関係者、地元企業の関係者なども出席、全面的な支援を表明した。
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