ウクライナEU加盟、ロシアが「容認」表明した理由 仏、独、伊の首脳が「加盟候補国」認定を支持

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フランス、ドイツ、イタリアの首脳が、ゼレンスキー氏の目の前で、EU加盟候補国認定の支持表明を行ったことは、EUの覚悟を示す場となった。フランス、ドイツ、イタリアの方針転換で流れが変わりそうだが、プーチン氏は意外な反応を示した。

プーチン氏は17日、サンクトペテルブルクで開催中の国際経済フォーラムの席上、EUについては「NATOのような軍事同盟ではない」とし、ウクライナのEU加盟について「反対しない」と容認する考えを示した。

一方で、ウクライナがEU加盟国になればEUの補助金に頼る西側諸国の情けない「半植民地になる」と皮肉な見方も示した。

プーチン氏が考えていることとは?

実はプーチン氏は今月9日のモスクワで開かれた若者との対話集会で「主権を持たない国」は「厳しい地政学的争いの中で生き残ることはできない」との認識を示した。

この発言は、国が独自の強力な軍事力、経済力を持つ主権国家でなければ地政学的争いには勝てないというプーチン氏の世界観を示しており、念頭にあるのはアメリカと中国だ。

その意味でウクライナがEU加盟国になったとしても、それは政治同盟であって軍事的脅威にはなりえないということを明確にした。ただし、アメリカが主導するNATOに加盟することはプーチン氏には脅威でしかない。

それにトルコがEU加盟候補国のまま23年も経つことから、トルコ加盟よりウクライナ加盟が先に承認されることはありえないという読みがプーチン氏にはあるとも考えられる。EUの加盟承認は「加盟国の全会一致」というハードルがあり、ロシア寄りのハンガリーやオランダ、デンマークが難色を示す可能性はすでに指摘されている。

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