ウクライナEU加盟、ロシアが「容認」表明した理由 仏、独、伊の首脳が「加盟候補国」認定を支持

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ロシアがウクライナに侵攻した2月24日以降、フランスのマクロン大統領が「ロシアを過度に追い詰めるべきではない」と発言するなど、とくにドイツ、フランスから、ウクライナのゼレンスキー大統領が不信感を持つ言動が発せられてきた。

ドイツのショルツ首相は当初、ウクライナへの武器供与に関して、兵士が使用するヘルメットだけ供給し、戦車などの重火器の供給を拒んだため、批判を浴びた。その後は古びた兵器を小出しにし、しかも迅速とはいえないスピードで供給してきた。

6月16日にフランス、ドイツ、イタリア、ルーマニアの首脳がウクライナを訪問したとき、ショルツ氏は「継続的支援」を約束したが、ドイツ国内の与党議員からも「遅すぎる決断」との批判を受けた。

ドイツとロシアの深い関係

そもそもフランス、ドイツはウクライナが切望するEU加盟についても否定的で、ロシアとの関係重視のためにウクライナやモルドバを緩衝地帯とする考えを維持した経緯もあった。フランス、ドイツの反応の鈍さに、対ウクライナ強硬派のイギリスからは「ドイツは西側の仲間とはいえない」とまで批判された。

無論、ドイツは第2次世界大戦以降、外国の戦地に武器供与しない政策をとり、NATO軍への参加が主で、単独でウクライナに武器供与するのは新しい状況だったのは確かだ。ただ見方を変えると、この70年以上続く外交、防衛政策は、ドイツを平和ボケに追いやったともいえる。

実はドイツには約350万人ものロシア系住民が住んでいる。東西冷戦末期にはドイツは国外脱出をめざすロシア人にとって最も魅力的な移民先だった。また、ロシアには200万人以上のドイツ系住民がいて、過去の長く複雑な歴史と冷戦後の経済依存度の深さから、ドイツの政財界はロシアのドイツ移民と深くつながっている。

ドイツのシュレーダー元首相は、ロシア国営石油大手ロスネフチの取締役で、ドイツ、ロシアのズブズブの関係の象徴的存在だった。

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