値上げでも客が離れない主要企業の動向総ざらい 外食、食品、電力、住宅、日用品等の状況を確認

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中華料理店「餃子の王将」を展開する王将フードサービスも、5月14日から、グランドメニュー全体の約2割の商品で、 店頭価格を税抜20~30円値上げした。約2週間後の決算説明会で渡邊直人社長は、「価格改定によって2%ほどは(客数が)落ちるのではないかと思っていたが、(価格改定後も)6%増で推移しており、むしろ増えている」と説明した。

「珈琲所 コメダ珈琲店」を展開しているコメダホールディングスは、約94%がFC店。原材料価格や人件費の増加などもあり、直営・FCとも多くの店舗が店頭価格の改定に踏み切った。今のところコーヒー豆などFCへの卸売価格は据え置いているが、引き上げも検討中だ。外出自粛緩和に伴う客足回復効果やヒット商品もあり、今年度はコロナ前の水準を上回る利益を上げる見通し。

「ケンタッキーフライドチキン」を展開する日本KFCホールディングスは、6月1日にセットやボックスメニューの一部商品を値上げした。さらに7月6日には「オリジナルチキン」やパック、サイドメニューなども値上げする。ただ、先んじて価格改定に踏み切った競合チェーン・マクドナルドの動向を考慮すると、KFCも既存店の活況が値上げ後も続くだろう。

これまで挙げた企業は、もともと業界内でも比較的業績が好調な外食企業ではあるが、今のところ総じて値上げは受け入れられているといえる。

ビールの値上げは14年ぶり

酒類担当:酒類大手のアサヒグループホールディングスは、4月26日、「スーパードライ」など家庭用ビールを10月から値上げすると表明。その後5月から6月上旬にかけて、キリンホールディングスサントリーホールディングスサッポロホールディングスも続いてビールの値上げを発表した。

アサヒやキリンなどは海外売上比率が高く、海外ではこれまで機動的に値上げを実施してきた。しかし、国内では酒税法改正の影響を除けば、家庭用ビールの値上げは各社とも約14年ぶりとなる。

ビールは2020年10月に行われた酒税改正で減税となり、店頭価格が下がった影響もあって直近の各社の販売数量は拡大していた。ただアサヒの場合、今回は年間で100億円を超えるコストアップも想定されている。

東洋経済へのインタビューで、アサヒビールの塩澤賢一社長は「追い風が吹く中で値上げするのは非常に忸怩たる思い。だが合理化や企業努力だけではとても吸収できない。私自身、年明けにはさすがに今年は値上げをしなきゃダメだなという思いがあった」と述べている。

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