編集部:高額の住宅の見通しはどうか。
住宅担当:住宅業界では、去年の3月頃から「ウッドショック」が表面化した。住宅ローン金利の低下やテレワークの浸透により、アメリカの住宅需要が拡大し、木材価格が高値で推移していた。そこにウクライナ危機の余波が襲ってきている。
林野庁によると、日本の木材輸入元として上位のEU(欧州連合)諸国や中国などに比べ、ロシアは9番目。2021年の実績は、木材輸入額ベースで全体の約5%あまりの634億円と、あまり多くを占めていない。
しかし、ロシアは日本を含む非友好国向けの丸太、単板、チップの輸出禁止措置を取り、新たに「合板ショック」が起きた。合板とは薄い単板を3枚以上重ねて接着剤で貼り合わせた板のことで、ベニア板とも言われる。
合板の用途としては、家の構造材として、床や壁、屋根の下地材として、またコンクリートを流し込む際の型枠(コンクリートパネル=コンパネ)など幅広く使用される。昨年時点で、ウッドショックにより住宅1棟あたり50万円程度の値上がりといわれていたが、今は合板ショックも加わり100万円程度値上がりしているといわれている。住友林業もアメリカは堅調だが、国内戸建ては、受注鈍化と粗利益率の悪化が見込まれる。
住設機器も値上げラッシュ
住宅設備・機器担当:LIXILやTOTOなど住宅設備・機器メーカーの業績は順調だ。コロナ禍で在宅時間が長くなり、住宅環境を良くしようとリフォーム需要が高まった。コロナ禍が落ち着いてもそうしたトレンドにあまり変化はないようだ。
LIXILの場合、昨2021年度は500億円のコスト増要因があったが、そのうちサプライチェーンの対応費用が4割程度、銅やアルミなどの原料高、物流費高騰がそれぞれ3割程度になるという。
今年4月以降受注分は、水回り品、サッシなど最大39%の値上げを実施した。さらにインテリア建材は9月受注分から10~20%程度、その他商品も10月受注分以降から最大27%程度値上げする予定だ。