値上げでも客が離れない主要企業の動向総ざらい 外食、食品、電力、住宅、日用品等の状況を確認

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編集部:アパレルでは「ユニクロ」が値上げを明らかにしたことが話題になった。

アパレル担当ファーストリテイリングは、6月の新商品展示会で、今年の秋冬物の「ユニクロ」の商品のうち、定番の衣料品の一部を値上げすることを明らかにした。対象品目の数は定まっていないが、主な商品ではいずれも税込みで、フリースがこれまでの1990円から2990円に、ダウンジャケットが5990円から6990円に、それぞれ1000円引き上げられる。

ユニクロは2014年と2015年の秋冬シーズンに、円安や原材料高などを受けて2年連続で値上げを実施したことがある。1度目の値上げを行った2015年8月期の国内ユニクロ事業は増収増益を達成したが、2度目は消費者に受け入れられず、2016年8月期の同事業の営業利益は1割以上減少した。

ファーストリテイリングの株価は「買い」で反応

そうした苦い経験があったためからか、値上げについては慎重姿勢だったが、ついに踏み切る。値上げの意向が伝わった後も、ファーストリテイリングの株価は上昇を続け、年初来高値付近にある。株式市場からは、値上げでも客は離れず、業績にプラスになるとポジティブに受け止められているようだ。

一方で、ベーシック衣料を扱う「無印良品」を展開する良品計画は、基本的に当面は価格を維持する姿勢だ。残った布き切れ端を使った「訳あって安い商品」や高品質商品などに注力し、わかりやすい一斉値上げはしないとみられる。

編集部:トイレタリーも一部で値上がりしているようだ。

トイレタリー担当花王は紙おむつの「メリーズ」が少子化で国内販売が厳しい。さらに原材料高も重なり、4月出荷分から出荷価格ベースで10%値上げをした。商品のリニューアルを伴わない単純値上げは初の出来事で、業界には驚きをもって受け止められた。

さらに今年5月14日、衣料用洗剤「アタックZERO」を“刷新”した。ただこれは、昨年4月10日に発売した同商品の容量がボトルタイプ各400g・各600gだったところ、それぞれ各380g・各580gと容量を縮小させた実質値上げとなっている。

業界のプライスリーダーが値上げに踏み切ったことで、トイレタリーの値上がりも広がっていくだろう。

東洋経済オンライン編集部

ベテランから若手まで個性的な部員がそろう編集部。編集作業が中心だが、もちろん取材もこなします(画像はイメージです)

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