飲料担当:安売りで消耗してきた飲料業界もついに値上げに転じてきた。業界トップのコカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングスは、今年2月、先陣を切って大型ペットボトル製品の値上げを発表。5月1日から出荷価格で5~8%の値上げを実施した。具体的な値上げ幅は不明だが、小売価格ベースでおおよそ10円程度の値上げと見られている。
一方、国内飲料2位のサントリー食品インターナショナルは、10月から一部商品を除き、大型・小型ペットボトルともに希望小売価格ベースで20円値上げする。小型ペットボトルでは1998年3月以来と、実に約24年ぶりの値上げとなる。コカ・コーラが値上げを発表した後の数カ月の間に原料高が一段と進んだこともあり、サントリー食品のほうが強気の値上げ幅を打ち出した格好だ。
ただ、日本の飲料業界は商品の差別化が難しい中で、購買力のある小売店との交渉などの過程でシェア争いによる安売り競争が熾烈化するという歴史をたどってきた。
そのため、消費者がスーパーやドラッグストアなど店頭で飲料を購買する際、実際にどれだけ値上げされているかは不透明な部分がある。「1本買ったら1本無料」などといった施策で、値上げが有名無実化されるケースもあるかもしれない。
コカ・コーラは販売数量の減少などによって3年連続で最終赤字に陥っており、2022年度も赤字が続く見込み。業界全体としても値上げは進めたいところだが、前途は多難だ。
食品は値上げが許容されやすい
食品担当:飲料は水道水からお茶を作るなどしてしのぐこともできるが、食品は代替しにくい。生きていくためには食べなければいけないし、やはり料理にマヨネーズやケチャップは必要だ。そのため飲料に比べ、値上げが比較的許容されやすく、すでに昨年秋頃からどんどんと上げてきている。
近いところでは、日本ハムは、2月から家庭向けハム・ソーセージや加工食品など173品目を5~12%値上げ。再度の価格改定も検討中だ。キユーピーは、3月1日出荷分から家庭用マヨネーズ、ドレッシング、タルタルソース、オイルソース等の価格改定を実施。たとえばキユーピーマヨネーズ(450g)を、税込み402円から436円に引き上げた。主原料の高騰に伴いさらなる値上げも検討中だ。