がん患う医師「死に目に会うことは重要ではない」 大事なのは「元気なうちに会っておくこと」

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がんを患う著者は、「死ぬ直前に会う必要はない」と言います。その真意は――(写真:Graphs/PIXTA)
全国でも先駆けとなる「男性更年期外来」を2001年に開設、「夫源病」の名付け親としても知られる医師の石蔵文信さんは、64歳で前立腺がんが全身の骨に転移。現在も外来を行いながら、自身の治療を続けています。
延命治療や胃ろう、現役医師としての決断と、それをどう家族や周りに伝えるのか――。悔いのない最期のために、今から考えておきたいことをまとめた一冊『逝きかた上手』が発売、たちまち重版するなど話題を呼んでいます。
2回目となる今回は、多くの人の死の瞬間に立ち会ってきた医師の立場から、家族や周囲の人がこだわる「死に目に間に合う」ことについて率直に語ります(3回にわたって紹介。1回目はこちら)。

先日、末期がんで入院している人の家族の介護についてのコラムを読みました。末期がんで入院されているため、いつ亡くなるかわかりませんので家族がずっと待機をしている様でした。

入院していますので、おそらく点滴や栄養チューブなどの最低限の延命処置は施されていると思います。

栄養補給をすると死期が少し長くなる

栄養補給をすると、死期が少し長くなる可能性があります。そのためにかなり長い期間、家族が病室に詰めて、かなり疲労困憊している姿を見た看護師さんが「しばらく家で休憩されたらいかがですか?」とアドバイスしたようです。

がんの末期には痛みや苦しみが伴うので、以前は病院で麻薬などを使った緩和ケアが必要でした。しかし現在では開業医の先生のなかにも看取りをしてくれる方が多くなり、経口の麻薬を使うとかなり有効な緩和ケアができます。

私の場合は最後には入院をせずに、緩和ケア医に頼んで自宅の1室で静かに旅立とうと思っています。2021年末に私が経験したように、骨に転移したがんではかなりの痛みを伴いますので、最終的には麻薬を使っていただくことになるでしょう。そして食事や水分摂取もだんだん少なくなることも経験しました。

体はかなりしんどいですが、動かなければ特段大きな問題はなく、意識は次第に「ぼー」としてくるのです。このときに痛み止めや麻薬を使うとかなり朦朧とした状態になり、それほど苦痛を伴わないのではないかと予想されます。

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