米国株「S&P500」への妄信は今後リスクとなる訳 当の米国年金基金も米国のみから「分散投資」へ

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もし運用中のインデックス・ファンドで360万円の損が出たとしよう。360万円という金額はそれなりに大きな損に見えるが、「360カ月」で割ってみると、月々の負担は1万円になる。この金額であれば生活を少し切り詰めれば、十分吸収できる損失である場合が多いのではないか。

全世界株式のインデックス・ファンドの「1年後の最悪の損失額」(100回のうち2~3回生じるかというくらいの確率の「最悪」)は、ざっくり言って投資額の3分の1くらいだ。つまり360万円の損失に耐えられる人は、その3倍の1080万円まで投資しても大丈夫だということになる。「360万円」はリスクの見当を付ける際に使える。

インデックス・ファンドはたしかにリスクがある。しかし、ほとんどの場合、運用を躊躇するほどのリスクではない。現役時代だろうが老後だろうが、運用する人の属性は関係ないのだ。たとえ老後世代であっても積極的にリスクのある運用をしても問題はない。

年を重ねたら「親子2世代」で考える

「年齢とともに国債などの債券の比率を増やしましょう」「株や投信を売って、現金に換えておきましょう」といった内容を解説するファイナンシャルプランナー(FP)が多くいる。

しかし、歳を重ねるにつれリスクを減らす必要なんてない。個人単位で考えればそれでもいいかもしれないが、親子2世代で考えたときにものすごくもったいない。FPの言うとおりに債券の比率を増やすと期待利回りは低くなる。また、現金化したとしても相続後改めて運用するまでに「運用していない期間」が生じる。

親子で協力しながら、親が歳を重ねてもリスクを取り続けて、お金を少しでも増やす「2世代運用」をおすすめしたい。それ以前に、読者は「親のお金の状態」を大いに気にしておくべきだ。金融機関の言いなりになって「大変なこと!」になっている場合が少なくない。

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