米国株「S&P500」への妄信は今後リスクとなる訳 当の米国年金基金も米国のみから「分散投資」へ

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S&P500か全世界株式ならば、私は全世界株式を推したい。全世界株式へ投資すると分散投資ができる。それでもアメリカ株が6割程度のウェイトを占めるので両者は似ているのだが、こちらのほうが明らかに優れた選択だ。

加えて、アメリカの年金基金などのプロの投資家たちも、アメリカ株やアメリカの債券など「アメリカオンリー」の投資から、「全世界」へと分散投資するようになった。

その逆を行く必要はないので、やはり全世界株式へ投資すればいいだろう。

なお、「株主優先の経営」は、聞こえが良いが「株価を上昇させる財務政策的なポテンシャルを使い切った」状態でもある。自社株買いを行うと資本がスリムになり、株価は上がりやすくなる。近年の主要なアメリカの大企業を見ていると、自社株買いをやり尽くした感がある。

考えようによっては、「ムダがあるけれども、ムダを取ることで改善の余地がある」といった企業の株式にチャンスがある。ゲームとしての投資は「変化」に賭ける行為だ。「現在の優等生」を買うよりも、「劣等生の将来の改善の可能性」を買うほうがいい場合がある。投資に興味のある読者は、発想法のひとつとして知っておくといい。

「年齢」によって運用商品を変える必要はない

リスクを嫌うあまり無難な資産運用を選ぶ人がいるが、「必要性」の観点からは、そこまでリスクを嫌わなくてもいい場合が多いのではないか、というのが私の意見だ。

そもそもインデックス・ファンドで運用すれば資産の大半を失う可能性は極めて低い。また、かりに大きく損をしても、現役時代なら自分の稼ぎを増やす努力を行いつつ、運用し続ければ問題ない。

一方、老後資金が減ることに不安を覚える人も多い。だが、「360万円」をひとつの目安にするとリスクを把握しやすくなる。「360」とは、老後の期間を30年と(多めに)見積もったときの月数だ。

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